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昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

45で買ったストラトキャスター【それどこ大賞 買い物】

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35で転職。37で離婚。
それから8年が経っていた。

子どもと妻がいなくなった生活。特に荒れることもなく、お酒におぼれることもなく、シリーズもののゲームが趣味で、なんとなくつまらない日常をすごしていた。

当時の私は小さな広告代理店の営業マン。

生活のリズムは凡庸に規則正しくて、朝8時45分の電車にのって職場へ、夕方6時に仕事が終わって、夜8時頃帰宅。こんな毎日。

たまに接待で遅くなることもあるが、それ以外の夜はひたすら引きこもってゲームをやっていた。

45才を過ぎたある日、臨時ボーナスが入った。
金額は8万円。
(うーん、このお金で何か自分にごほうび?)
なんて思いながら帰りの電車に乗る。

 

その日は雨だった。

定時そこそこに会社を出て、上野から京浜東北線に乗り、秋葉原のホームで降りた。
(新しいゲーム機とソフトを買って帰ろうか・・)

 

<その日の昼休みの会話>
社内で文庫本の貸し借りをしていた女性から言われた言葉が思い出された。

「マンガでもいいのがあるから、貸そうか?」と言ったら
「あ、私、マンガとゲームはNGなんです」と言われた。

ちょっとショックだった。

(そうだよな。もうオレ45だよ。ゲームはそろそろやめようかな。)

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結局アキバのホームから電気街には出ずに、総武線に乗って御茶ノ水へ。

(そうだ!学生時代にやっていたエレキギターを買おう!)

思いつきだった。

昔欲しかったストラトキャスター(の国産もの)なら8万で買える!
※ちなみにアメリカ産の(俗に言う本物の)ストラトは20万弱・・。

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※これはストラトキャスターのミニチュア。

 

雨の御茶ノ水駅。夕方6時半。

人の流れは、ほとんどが駅の改札に向かう。

そんな人の流れとは反対に改札を出た。

立ち並ぶ楽器店の近いところに入ってみた。

 

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ひさしぶりの楽器街。
ストラトキャスター(コピーモデル含む)と言うだけだと、ひとつの店だけで何十本と並んでいる。

(8万で買える白いボディに黒い指板のストラト・・)

予算と色で的をしぼってもひとつの店に10本はある。

じっと見ていると店員さんが話しかけてきた。
「試しに弾いてみます?」
(え?え??何を弾くって言うんだよ。。恥ずかしいなぁ)

「いえ、ちょっと見てただけで・・」店を出た。

出てもすぐまた楽器屋が並んでいる。

2店舗目に行った。弾かずに出た。
3店舗目に行った。弾かずに出た。

信号を渡り坂を下っていく。駅から遠くなるにつれ、さらに客足は減る。

4店舗目。
お客は私だけ。やっとのことで店員に話しかけた。
「えっと、すみません。このギター弾いてみたいんですけど・・」
結局15分ほどで3本弾き比べて、フェンダーJAPANのST-62を買った!
68000円くらいだったと思う。

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雨の中、ギターのソフトケースにビニールをかけてもらって急ぎ足で帰った。
スーツの肩にかけたエレキギター。懐かしい重さ。

帰宅後はRPGの続きなんぞやらずに、ストラトを弾きまくった。
昔コピーしたパープル、ツェッペリン、KISS、クリーム、ジェフ・ベック、ジミヘン・・手が覚えていた。どれも途中までしか弾けないけど(苦笑)


ものの10分ほどで左手の指先が痛くなった。
痛いのにまた弾く。弾くと少しだけ痛みを忘れる。
弾くのをやめるとまた痛い。。
この痛さも懐かしかった。

 

晴れた翌日。仕事終わって6時半。また御茶ノ水にいた。

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残りの12000円で小さいギターアンプを買った。
ヘッドフォンも使えて夜中でもガンガン弾けるヤツ!
帰り道のアンプは思ったより軽く感じた。

 

毎日家でゲームをしていた3時間はギターの練習の3時間に変わった。
「昔弾けていた曲」が弾けなくなっているのが悔しくて弾いた。
きちんと弾いてみたら、自分で弾いてた昔のコピーも間違っていた!?

そんな発見も楽しかった。

45年生きてきて、毎日ギターの練習をしたなんて初めてだった。

面白い!ほんとに面白い!

練習が面白いと思ったのは初めてかもしれない。
半年が過ぎた。明らかに20代のころより上手くなった。

上達がわかるからまた練習する。

 1年が過ぎた。ちょっと人前で弾いてみたくなった。

SNSで知り合った仲間に誘われて、人前でギターを弾いた。
(大きな間違いはなく弾けたけど、まだまだだなぁ。)
そんな思いがまた練習に向かわせた。

 

以前からの「なんとなく飲む集まり」はつまらなくなって、行かなくなった。

代わりに昔のバンド仲間と連絡をとって会うようにした。
ボーカルの女子(女子と言ってもベテランw)、ベース、キーボード。。
ドラムは連絡つかず。もうひとりのギターも連絡つかず。
それでも昔のバンド仲間と飲みながら、昔やった曲でいいから、今度スタジオに入ろう!ということで盛り上がった。スタジオはほんとに楽しかった。

新たなドラムが見つかって、そのバンドでライブハウスに出演。

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ライブハウスのオーナーに気に入られて定期的にライブハウスに出るようになった。

1年もすると、新しい目標が欲しくなった。

おやじバンドコンテストに出ないか?」とメンバーに持ちかけたが実現しなかった。結局このバンドは1年半ほど続いたけど自然消滅。

昔の仲間が集まった同窓生バンドの活動はなくなった。

けれど、ギター熱は止まらない。

 

新しいギターも買った。

そのころからセッションできるお店にいろいろ行くようになった。

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何度か行った赤坂のライブ居酒屋で知り合ったセッション仲間から誘われた。
オヤジバンドコンテストに出ないか?」

あの時に出てみようと思ったコンテストだった。


急遽集まったセッション仲間で曲を仕上げてチャレンジした。
結果はギターの個人賞。うーん、、うれしいけどくやしい!!

 

同じメンバーでもう一度トライした。
今度はバンドで準グランプリを取った!

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バンド仲間と最高にうまい酒を飲んだ。

 

今はセッション仲間とは別に、自分のバンドをやっている。
みんな働いている社会人バンドだから年に2、3回ライブハウスで演奏している。

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あのストラトを買っていなかったら、今のバンドも組んでいないだろう。


あの時ゲームばっかりやっていた私が電気街に行かず、楽器屋街で買い物をしてから生活が変わった。


あれから10年。

10年の間に地元の会社に転職した。再婚もした。
最近は妻と人前で演奏することもある。

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10年前の雨の日にお茶の水で買ったストラトが、
今の生活の楽しみをくれたと思っている。

 

 しっかし、楽しい10年は早いなぁ。この秋で56だ。


I can see clearly now[cover song]

 ※準グランプリをとったバンドで作った曲のMVです。楽しさが伝わればと思って録音・録画・編集とみんなで作りました。

 

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