昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

営業マン!

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営業を覚えたのは昭和の頃。

分厚い電話帖を前に「とりあえず【あ行】から順番に電話していくんだよ」と言われて毎日ひたすら電話をかけた。

 

昭和の時代は、今みたいな振り込め詐欺なんて無かったから、昼夜100件200件と電話をかければ5件、10件は話しができた。

まぁ8割方は「ガチャ切り」。

つまり営業電話には「うちはけっこうです!」で10秒も話さず。

ガチャっと切られてしまうんだけど。

 

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それでも、たまに売れることもあって、とにかく電話をかけまくっていれば、ごくごく平均的な成績はキープできていて、「売れるときはカンタンだ。話が早い」なんて思っていた。

 

要するに「タイミングよく商品を買いたい人」を見つける【ラッキー探し】の作業が電話営業だと思っていた。

 

古い先輩は朝礼が終わるとまず喫茶店に行ってサボってたし、ちょっと上の先輩はただただ「電話営業は数の勝負なんだから、ひたすらかけろ」の一点ばり。

 

後から思えば、ほんとに腐った営業所だった。

 

そんな中、営業所長が人事異動で代わった。後任できた所長が元いた所には年収2000万以上の人が3人もいた。(いわゆるエース級が3人)

 

後任の所長はけっこう厳しかったこともあって、着任から半年も経たないうちに古い先輩たちは次々と辞めた。

代わりにやる気バリバリの新人も入ってきた。

(すぐ辞めちゃう新人もいたけどね)

 

 

そんなやる気マックスな新人と私の2人で所長に何度も尋ねた。

トップセールスの人とオレたちとは何が違うのか?」

 

半年ほど経ったある日、彼が元いた営業所のトップセールスの人2人に会わせてくれる話になった。(ちなみにこちらは神奈川の営業所で、先方は埼玉)

 

会って話をきいておどろいた。

 

++以下は営業のイロハなので知ってる人には当たり前すぎてつまらないでしょう++

 

・新しい所長からはいろいろ営業トークだの何だのと聞いてたけれど、トップセールス本人から聞いたものは、いわば目標と「契約締結までの確率の見える化」と、それによる【自己(時間)管理法】だった。

 

「電話営業を毎日続けることは大変でしょう。モチベーションが下がってしまうと何件かけても決まらないもんです」

トップセールスの人って、まずまず頭がよくて優しい人が多い)

 

「では今までの成績を数値化しましょう」

(え?!【儲かる夢】を忘れずにひたすら電話かけたもん勝ちなんじゃないの?)

 

「まず、1日に300件かけます。昼間は留守が多いからすぐ200件くらいの名簿は留守の文字で黒くなりますよね?夕方から夜になるとけっこうつながりますから話ができるのは50件くらいでしょうか?」

(だいたい、そんなもんかな?)

 

「では先月の25日間で7500件電話かけて(当時は週1日ほどの休み)何人と話しましたか?(ガチャ切りは除く)」

(えっとー、、1日だいたい平均して6、7件くらいだから150~200人くらい?)

 

「はい。では200人として、そのうち見込みの濃い客をAランク、見込み度合いでBランク、さらに話だけで終わっちゃうCランクに分けるとそれぞれ何人くらいですか?」

 

(うーん、、Aが10人くらい、Bが150人くらい、残りがCで40人くらい?)

 

「で、そこからアポを取って、クロージングをかけて、何件契約になりましたか?」

(うーん、Aランクですぐアポ取って決まったのが2件。あとは・・・今月になって決まったの含めて全部で6件くらいかな?)

 

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「まずは、そこを数値化しましょう!」

 

つまり話した人数から、アポ取り、クロージング、契約までの確率を出しましょう(=見える化)と言う話だった。

 

で、結論から言うと、年収目標を設定してそこから確率使って逆算して1日1日を過ごすこと。

 

要するに年収の目標が800万だったら、1ヵ月に新規契約10件(平均単価で)だから私の場合は今の1.7倍近く電話をかけまくるってこと?!

 

そんな事を聞くとトップの彼はニコニコ笑ってたのを覚えている。

(よく笑う人だった)

 

その人の口癖は、新しい所長といっしょで「営業は数学です。確率です」

そのホントの意味がわかるのはそれから先だった。

 

「いえいえ、1日に300件電話かけてる営業マンが500件以上かけるというのはハナから無理な話ですよ」

(じゃぁどうするんだ??)

 

「まず、見込みAランク10人から即2件契約になった。これは次のキャンペーンのタイミングとかでもう2件は取れると思って数に入れてください。先月の契約6件のうちBランク150人から何件決まりましたか?」

(5件です)

「残りの1件はCランクから?」

(いえ、契約者からの紹介でした)

 

「つまり7500件かけたらAから2件、Bから5件、元Aから1件ですね」

(そういうことです)

「では、こういう風にして毎日、毎月データ化してってください」

(でも、データ化しても、してなくても決まる数って、結局は同じなんじゃ?)

 

「モチベーションがちがいます」

(あぁ、、最初に言ってたやつね)

 

「まずAランクが10人いたら、時間がかかっても確率として4割はいけます。Bランク150人からフォローとクロージングで3%。Cランクも数そろってくると0.2%くらいはいけます。これを忘れないでください。」

(はい、それでモチベーション上がるの?)

 

「はい。今まで電話かける時にいつもAランクを探してましたよね?」

(まぁそうです。ラッキー探しですもの)

「ところが、Bランクでも3%契約。Cランクでも0.2%契約です」

(はい、まぁ。。)

「と言うことは全体の数が増えたら、AでもBでもCでも中にラッキーはあります」

(あ!)

「そう思うと、アポ取る時に、クロージングかける時に気持ちが下がらずいけます」

(なるほど)

「逆に言うと、Aランクでも気持ちは特に上がりません」

(期待するんじゃなくて期待値通りに決まっていくって事か。。)

「だから自分のトークはいつも一定のクオリティを保つだけで7500件電話かけると10件の契約は取れるんです」

(うーん、、なんか数字のマジックみたいな、、)

 

「で、一番大事なのはアポ取りするときに「契約しない人を早く探しだすこと」です」

(え?は??逆?)

「つまり、話は、よーく聞いてくれるけど、実際には契約する気のない人を早く判別することなんです」

(!!!)

「電話をかけた。話を聞いてくれた。アポを取る。クロージングをする。契約!までの流れの中でコッチでふるいにかけて【実は契約しない人】に時間をかけない事が重要です」

(!!!!!!!!)

「それは、単刀直入に(手短に)クロージングをかける事ではありません。」

「あなたが電話をかける7500件の名簿のうち、7490件は契約しない人だとしたらそれを早く見つける事が大事なんです。なぜ大事なのかと言うとBランク、Cランクの人に手間と時間をかけて、成約率を上げようとしたら、フォローアップに時間がかかって、翌月は7500件電話をかけるヒマがなくなっちゃうんです」

(その通りだ。。)

「だから真面目にがんばって売り上げ作ってた人の成績が下がっていくんです」

(あー、、スランプ。。)

「で、ダメなマネージャーは「最近電話かける時間をサボってるから売り上げ落ちてるんだ!」と言うんです」

(じゃぁ、どうすれば??)

 

「ボクの場合、自分のトークの中で「ふるいにかける質問」をいくつか用意しておくんだよね。それで判別していく。これでかなり時短になる。

 

まぁ最終的な判別はクロージングかけるんだけど、それでNOでも「次またアタックするか?もう終わりにするか?」を分けて、今後も見込みとして残す方はストックしておく」

(ふるいにかける質問。。)

 

「一番いいのは軽-くクロージングかけることです。これはアポ取る時もいっしょです。長々と話すんじゃなくてカンタンな説明終わったところで『うちのはこういう商品なんで、初めてみませんか?』みたいな、、アポ取りだったら『まずはお話を聞いてもらえませんか』みたいな」

(はぁ。。軽くクロージング。。)

 

「それで決まれば、かなりの時短。で、どんなNOが出てくるのかは9割方は想定内だよね?【今は要らない】とか【高いから止める】とか【主人に確認してから】とかね。

 

そしたら、いつもの押収話法でいい。でもひとつ説明したらまた軽いジョブ(クロージング)をする。

ボクの場合は3回クロージングかけてだめなら、また来るか?もう止めるか?判別する。実は『3時間かけて説得して契約しました!』ってお客さんは30分でよかったりする。余った2時間以上でまた新規の名簿に電話かける。」

(なんかドライです)

 

「そう、営業はドライな頭とにこやかな熱意で!」

(すごいなぁ。。)

 

実際にはもっといろいろとお話聞かせてもらったんですけれど、この2か月後くらいから、数字はグンと上がって、私とバリバリ気合い入った新人君は年間優績者に選ばれました。

 

結局、電話営業の時代が30代半ばまで14年近くやって、会社は辞めたんだけど、次も営業職に転職して、まったく同じように「ドライな頭とにこやかな熱意」でずっと契約を取り続けて50歳までがんばりました。

 

けっこう稼いでたんですよ(^^)

 

今の人は営業嫌がる人多いけど、お客さんとの出会いもけっこううれしい事あったし、何よりトップセールスの人って人間的にもできてる人が多くて、今でもたまーに交流あります。

 

今の仕事の事務所にもたまに電話営業かかってくるけど、みんながんばってほしいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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