昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

今年の桜。

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「今年の桜は何か汚いな。うん、なんて言うか、きれいじゃない。」
と職場の先輩が言った。

意味合いとしては満開になのに、どこか葉桜のようだと。

 

けれど、私にはその言葉が別の意味に聞こえていた。

彼の中で、桜の開花を「心待ちにしていない」感じがした。
お酒の好きな先輩は、盆暮れ正月と同じくらいに毎年の花見が楽しみなのに、今年は待っていない。

ささやかな行事(宴会)も、ないとあきらめていた。

 

桜。今年も先輩は花見に行かない。

 

それでも昨年はまだよかった。
どこかで「みんなで自粛している(がんばってる)感」があって。

 

「あぁ桜きれいだな、この時期がまんすれば美味しい酒が飲めるんだから、みんなでガマンだ。。」と横目で見ながら近くの名所を通り過ぎた。

 

ところが今年の先輩の言葉はちがった。

「桜、、うん、なんか、やっぱりそんなにきれいじゃない」


好きだった異性とすれ違ったのに、ときめかなくなったような響きだった。