昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

【スポ根漫画:野球編②】

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かの喜劇王チャップリン無声映画からトーキー、つまりセリフを話すようになったことを自戒の念をこめて「これは映画界の堕落だ」と言ったらしい。

 

70年代になるとスポ根漫画の野球にもこの「堕落」がやってくる。

その代表格が「巨人の星」である。

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貧しい家に生まれて、厳しい父に育てられた設定がウケタ。とにかくわかりやすい。

燃えてるときは瞳の中に炎wこういう演出がウケタ。テレビアニメでは1球が届く前にトラだ竜だと登場して、次週へ続くなんてこともあった(笑)

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とまれ、ここまではよかった。(よくもないけどw)

漫画の世界だ。少年たちに伝えるために演出はどんどん激しくなった。

70年代になったら、ビートルズじゃなくてハードロックが出てきたようなもんだw

ところが、もっともっとわかりやすく気持ちを伝えたい

と考えた作者(編集者?)は、ここで代弁者を登場させた。

「伴宙太の説明的なセリフ」である!

主人公の気持ちをこと細かに(読者に向かって)説明する場面の登場である。

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この男の語りはわかっている読者(視聴者)にはくどいが、わかってない人にはなんとも伝わりやすい。
昨今のテレビドラマの中でも「視聴者への説明」的なセリフが多数あるけれど、こんなにあからさまな説明は巨人の星以前にはなかったと思う。


過去のスポ根もので、もし主人公がケガを隠して試合でがんばっていたなら

「うぬぼれるなよ!」とか「あんまり俺達をバカにするな」なんてセリフがあってその後に一発くらい殴っているかもしれない。

この「うぬぼれるな!」の意味すら70年代の小中学生には伝わりにくくなってしまった。かと言って、そこで作者の説明をくどくど書いては読者が興ざめしてしまう。そのあたり、伴くんは何かにつけがんばってましたね。

 

これが冒頭で述べた喜劇王チャップリンの言った視聴者(読者)および製作者(編集者)の「堕落」につながっていく。

 

つまり。

わからない人向けに作られたものを見ていると、わかっていた人も考えなくなる。

これは後にドラマの中で視聴者の頭の中を整理してから次へ行きたい推理ドラマで「ちょっと待って!・・ということは、、彼はその時に先に部屋にいて、そこへ彼女が入ってきたってこと?」みたいに聞き返す場面。アレです。アレ。

さらに嫁・姑・兄弟・がそろって説明ばっかりしているドラマありますよね?世のおばさまたちが大好きなドラマ。あーいう説明ばっかりしてるのは、白痴化しちゃった人向けに数字取りたいだけの演出です。

 

とは言え、巨人の星は【主人公vs.ライバル(+熱き友情のもとの説明野郎)】という図式が確立し、大ヒットした。

そんな「巨人の星」も時代の変化とともに人気が無くなっていく。こうして今書いている私も当時、巨人の星は大好きで夢中になって読んだし、テレビも見ていた。単純に面白かったし。ただ、伴のセリフのところだけは「うっとおしい(暑苦しい)、飛ばしていい」と感じていた。


それでもこの70年代はいろんな野球漫画が登場していて、それぞれ個性があって面白かった。

(つづく)