昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

万引き家族 99点!

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まずはじめに。大きなネタばれはありません。

 

が、見ていない人にはまったくもってわからない部分あると思います。基本的に観た人向けに書いているので、細かい説明カットしています。結果としてネタバレになっている可能性はありますので、これから観ようと決めてる人はその後に読んでいただいた方がいいと思います。

 

まずは今回のカンヌ映画祭審査員長の言葉。
「大きなテーマはインビジブルピープル(見えない人々)だった」
byケイト・ブランシェット

これはいくつかの作品のテーマに共通のことと言うか、そういう作品が多かったというか。。

 

で、

 

彼女の「万引き家族」への作品評としては
「わたしたちは皆、どれだけ俳優たちの演技と監督のビジョンが『万引き家族』においてかみ合っているかということに、完全に圧倒されたんだと思います。並外れた映画です」

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これは見終わった後に誰もが感じたことだと思います。是枝ワールドすごいです( ^ω^ )

 

【見えない人?】

万引き家族」は社会の闇、、とまでは言わないけれど、社会の光のあたらないダークサイド(影?)の家族(のような共同生活)の話です。

 

映画の中ではいろんな社会的なテーマが盛り込まれています。

 

年金不正受給問題、高齢者の孤独死、学校に通えない子供の教育問題、家庭内暴力育児放棄ギャンブル依存症、雇い止め、労災事故・・・

 

現代日本ではふだん決して表に出てこない人たち。

(マスコミが事件として取り上げて、はじめて表面化される人々)

 

そういうどこにでもいそうでも決してとりあげられない「見えない人々」に光をあてている映画でした。

 

とりわけ児童虐待については悲惨な事件が増加の一方で、最近のニュースでも報じられていたので、そういう話になると(直接暴力シーンは無い)とても痛かったです。

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ただ、題材は社会問題を多く取り上げていますが、是枝監督はその根幹にある「家族」について描いた(問いた)作品だと思いました。

 

場面としては、劇中で出てくる「亜紀の」と、ハツエばあちゃんの(万引き家族の)の違いが印象的でした。(真逆な部分が、そこかしこによく描かれています)

 

亜紀は「(家族って)ふつうお金でつながっている」と言います。

なのに、ハツエの家での暮らしの中にも、バイト先のお客とのやりとりの中にも「それだけではない何か」を感じるナイーブな女子高生でとても印象的でした。

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それは温度。体温。

 

見終わってから、いろいろと頭の中で整理していくと是枝監督の脚本の妙に気づかされることが多々ありました。

 

劇中で多くを語らなくても、言葉の端に、会話をする表情に、しぐさに、なんとたくさんの情報が入っていることでしょう。

 


そしてこの映画のキーは「呼び名」にあるとわかります。

 

「母親」「父ちゃん」「おじちゃん」「妹」「慰謝料」「人のもの」・・・。

 

「社会派」とか「ドキュメンタリータッチ」とかの一言ではとても言い表せない「人と人との関わり」その本質が描かれていると思いました。

 

ラスト近くの(クライマックスとは言いがたい)信代の台詞と表情には涙が止まりませんでした。


安藤さくらさんすごかったです。

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物語のラストでは、リンちゃんの変化に実の母親が少しだけ気づいたことが、かすかな光でしたが・・・。

 

この映画。


寒い冬で始まって、楽しい夏が来て、また寒い冬で終わるんだけど。。

(リンちゃん、春がくるからね!と言いたい!)


それと、もうひとつ。

 

もりこまれたテーマのひとつに「こどもの成長」があります。

 

子ども(思春期も含む)は成長する。

それを周りの大人たちはしっかりと見守ってほしいと。けっして自分を押し付けずに。

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点数をつけるとしたら、失礼、、つけさせていただくとしたら・・・99点!

 

マイナス1点は、娯楽として楽しむにはあまりに重い(濃いぃ)ので。

 

だけど。

 

私を含めて“ボーっと生きてんじゃねーよ”と怒られてしまう人には、ゼヒ見てほしいなぁ。。

 

間違いなくお勧めです!

 

はぁ・・。思い出すだけで目頭熱くなります。

 

あったかくて切なくて、優しさにあふれているけど甘くない。。

 

是枝監督へ惜しみない拍手を送ります!!そして受賞おめでとうございます!

 

 

※劇中に出てくる「スイミー」の暗喩がいくつもありそうで、(まだ自分の中で、はっきりしていないので)もう一度見たいです。

(やっぱし、おれボーっと生きてるから、怒られちゃうなw)