自分には2人子どもがいて、歳は30と32なんだけれど、時代の差というか、育った環境の違いというか、親としてというか、大きな隔たりを感じる。
自分の子に限らず、若い世代になればなるほど顕著なその傾向を目の当たりにしていて、それは何かと言うと、短絡的な思考回路。
けっして頭が悪いとか(むしろ頭の回転は速い)情緒が育っていないとか、そういう話ではないから、話はややこしい。
イエスかノーか?の判断が早い。決断力とかの問題ではなくて、あいまいな状態でキープしておくのが面倒のように思える。
【短絡思考の元にある検索文化】
昭和の時代、テレビの普及を「1億総白痴化」なんて言われてた。もう50年以上前になるけれど。
昭和30年代半ばで生まれた自分はまさに「白痴化の初期型」である。
幼い頃から家にテレビがあって、娯楽は「受動態」が基本。楽しい番組を見て笑ってCMソングを口づさみ、そのまま社会に出てから30年以上が経った。
「楽しいこと=受身(消費)」から脱したのはバンド(歌)のおかげで、自分で何かをやることが楽しいと本気で思ったのも45を過ぎたあたりから。
まぁそんな白痴化した親(私)に育てられた子どもたちだから、聡明でもなければ賢いわけでもないのは承知の上だが。。
かれらの世代は、私の学生時代とあまりに環境が違う。
PCやスマホの普及と並行して登場した「ネットによる検索」で知識(情報)に関する環境が大きく変わったんだと思う。
知りたいものを探すことなら、若い世代の方が断然早い。
例えば、好きなタレント(もしくは友人など)が「ビートルズのLet it be」と言う曲が好きと知れば、ネットで検索してすぐに聞くことができる。
極端な話スマホさえあれば1分もしないうちにLet it beを聞くことができる。
この【すぐに得られる知識:情報】というのが検索文化のひとつのポイント。
これが昭和の時代なら、レコード(CD)を買う(借りる)か、アルバム【Let it be】を聞くまでどんな音なのか?どんな曲なのか?わからない。
もしシングル盤を手に入れたなら、ほとんどの人はB面のユー・ノウ・マイ・ネームも聴くことになる。
アルバムを手にして聞くならTwo of usからGet backまで聞くことになるだろう。
もし自分でレコード屋さんに行ってビートルズのレコードの中から探すなら、他のアルバムのジャケットも見るだろうし、知り合いのビートルズ好きがいたなら、その彼は他の名曲の話もするだろう。
もちろんググってLet it beを聞けば、いろんなLet it beが関連動画として出てくるだろうけど、それは聞いた後の選択になる。Let it beを聞いてピンと来なければTwo of usにもGet backにもたどり着かない。
そこで「Let it be」に始まった楽しい旅は終わってしまうことになる。
ググることの無かった昭和の時代では、そのものにたどり着くまでに時間がかかった。手間がかかった。
その間にいろんな情報が飛び込んでくるし、もちろん聞いた後にもいろんな情報に手を延ばすことも多々あった。
(もちろん、途中でやめてしまってlet it beを聞かずに頓挫することもあるだろうけれど)
以前、リモコンのタッチチャンネルと「回すチャンネル」の話でも書いたけれど「目的対象そのもの」に到達するためにいくつかの情報が付いてくるのがアナログだった。(良し悪しは別として)
で。例が長くなったけれども、検索して得た知識には、付随するものがほとんど無い。ピンポイントの知識が得られて終了する。
アナログの時代には知りたいもののまわりにある雑知識(雑情報)が付いてくる。
そして「すぐに手に入らないもの」でもガマンができる。
言うなればすぐに答えが見つからないものにたどり着くまでの道のり(旅)を楽しむことができる。
逆にデジタル世代の子たちは、まず先にひとつの答えを欲する。そしてすぐに容易に手に入れる。
仮にその答えがすぐに出ない時は「わからない(興味ないorわかるには面倒だ)」というレッテルを貼って片付けてしまうことも多い。
短絡的に○か×(ゼロか1か)の結論を付けたがっていて、私のブログのように「前置きが長い」と途中で読まれなくなるのかもしれない(苦笑)。
話は戻るが、若い世代の子たちを見ていると【すぐに答えを出したがる、こらえ性の無い世代】に思えるのである。
冒頭で彼らは頭の回転が早いと書いたけれど、実はアナログ世代は頭の回転が遅い=飲み込みが遅い分、いろいろと余計なことを覚えたように思える(ムダと言われればムダなんだけど)
1を知ればジャスト1をすばやく理解する子たちを見てわが身を振り返る。
1を知るまでにおぼろげな4とか7とかをたぐって、1~10までのこと(全体像)を理解しながらやっと「1」を飲み込んできた昭和なオヤジの話。
でもなぁ。もう少し遊びがあっていいなと思う。