昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

羊の木「映画版」:ネットフリックスで。

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仕事は金、土、日と3連休だったけれど、金曜は午前中から病院。帰ってきたら午後3時を回っていた。遠出も買い物もせずに、夫婦してリビングでゆっくりネットフリックス鑑賞。

観たのは「羊の木」

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舞台は架空の漁村「魚深村(うおぶかむら)」。

そこに殺人犯で服役している6人を、市役所が極秘のプロジェクトで住まわせる(受け入れる)という変わった設定。

 

原作のマンガは今もって未読だけど、2017年に封切られた時に予告編だけ見て、ちょっと面白そうな印象だった作品。

 

ちなみに原作では仮釈放の人を11人も村が受け入れる話だけど、映画版は6人にアレンジされている。

 

村に(社会に)あまり馴染まない6人と、錦戸亮演じる役所の担当者が、いびつに歯車が噛み合わないまま?物語は進む。

 

まず見ている最中の感想として、それぞれのエピソードごとにキャラが立っていて面白かった。(個性派の役者さんたちも好演)

 

この原作(プロット)自体がかなり変わっているけれど、吉田大八監督のアレンジが加わって楽しめた2時間6分でした。

淡々としている部分がよかった映画だったので、話の流れが素晴らしいとか、展開に驚くとか、感動したとかはとくに無い。

 

どちらかと言えば左脳で「ふむふむ。それで?」と言う感じにちょっとずつ考え考えクライマックスまで見て「なるほど。うーん。そうかぁ・・まぁねぇ・・。」みたいに腕組みしながら(小さくうなずきながら)見た映画なので、特におすすめするほどでもない。

 

原作にどれだけ説得力があるのかは未読なのでわからないけど、この映画に関して言うと正直それほど伝わってこなかった。

 

と、いうのは私にとっては、殺人を犯してしまった6人の動機がなんとも希薄に感じたから。

 

逆に言えば、希薄な動機でも、何かのきっかけで、「人は人を殺してしまうのかもしれない」というようなところは恐ろしいけど。

原作者の1人、山上たつひこは「がきデカ」で有名だけど、それ以前に描いた「光る風」が秀逸で好き。

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もう一人の原作者の いがらしみきお氏は「ぼのぼの」で有名な漫画家だけど、私はちゃんと読んでいない。

 

面白かったのは、この映画(原作)に登場する「のろろ」と言う名の村の守り神

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この「のろろ」は村を守ると言うより、人の心の闇を見通すような神。

お祀りの時も、日常でも「のろろを見てはいけない」と村人は言う。

 

劇中、主要人物の中でひとりだけ、のろろ をじっと見ている者がいる。

彼は、のろろに救いを求めるわけでもなく、興味があるほどでもなく。

 

クライマックスの場面が、夜の岸壁なので、どうにも見えづらかったのが少し残念だが、のろろ に自分の何かを託すような?場面だった。

 

幼児性と犯罪。人が人を殺す時に持つ感情はどこかに幼児性に起因するような、そんな要素も入った映画でした。

 

社会不適合者にとっての「居場所」がテーマなのでしょうか。。そういう意味では取り立てて説教臭くも無いし、難しい話でもないながら、中身はけっこう深い作品でした。