私はアマチュアバンドをずいぶんと長くボーカルやっているけれど、うちのツマさんは違う。ずっと見る側の人。
そんなツマさんに課題曲を与えて「これ、ライブで歌ってよ♪」と言ったら、本人は「とても無理。だって下手だもん。」と即答が返ってきた。
とある日曜の昼下がり。自分のバンドでやる曲を口づさんでいた。
横でツマさんが吹き出した。
ツマさん「なーに?その曲?なんだかひどい歌ね」
私「うーん、、まだ練習中だから。。」
ツマさん「練習不足だと、音痴なのね~」
からかい半分だけど本音だ。
私「(音痴?)うーん、いつも100回は歌わないと人前では歌えないよ。(この曲は)まだ10回くらい?これからこれから(笑)」
ごくごく当たり前のことだけれど、歌は(天才歌手をのぞいて)練習しなきゃうまくならない。
逆に言えば、歌は練習すればうまくなる!
(旦那(私のこと)が100回練習してから人前で歌うなら、私は300?500回くらい練習したら人前でちゃんと歌えるかも?)
うちのツマさんってば、妙に気合の入った決断をしたそうな。(本人後日談)
で、前に課題として挙げた曲。
これを車の移動の際にカーオーディオでずーっとループ再生したらしい。
日本語の歌ならまだしも、歌詞は英語。元々知ってた曲でもない。
ネットで調べた歌詞カードはあるけど、流れるメロディの中で、
どのタイミングで単語を切って、伸ばして、どこで息吸って、どこで張り上げるのか?
まったくわからないところからスタート。
ちょうどその頃、ツマさんは車で毎週行く仕事があったので往復3時間の道のりの間中、ずっとその曲をかけて聞いていたらしい。(これまた本人後日談)
3時間の往復に加えて、近場のお買い物に行く際も、ずっとこの曲。
頭の中で歌詞と「音」がなんとなく一致するまで、まずは聞きまくったとのこと。
おそらく2、300回は聞いただろう頃に歌詞カードを見たら、歌詞の運びがわかってきた。
歌詞の運びがわかってきたら、「聞こえてきたように歌う」ことにも慣れてきた。
いわゆる「歌詞まわし」が理解できたわけで、それから彼女は歌う練習に入った。
通称スタジオ「プリウス」
ここで彼女は歌った。歌っただけでなく、自分の歌とカーオーディオの歌をいっしょにスマホで録音した。それを聞いて、、ガッカリした。
(なんだ、歌えるようになったと思って聞いてみたら、ひどい!)
ただ、そこでも例の会話を思い出したそうな。
(まだ歌覚えてから100回も歌ってない)
それからもスタジオプリウスで100回くらい歌っては(ちょっとは上手くなったかな?と思って)録音した。
それでもまたガッカリ。また気合を入れなおす。その繰り返しだったそうな。(本人…)
何百回歌ったのかわからなくなってた頃に、私にポロっと言った。
「ねぇ、カラオケボックスに行かない?」
ふたりでカラオケボックスに行って、初めて私のギターをバックに例の歌を歌った。
おどろいたのは私だ。
「あれー!もうマスターしちゃってるじゃん!!」
彼女は私に褒められても、得意な顔ひとつ見せないw
「うーん、もう一回歌わせて、、ちょっと録音するから」
カラオケボックスで数回録音したものを、帰りの車の中でまた聞いている。
「飽きる?」とたずねたら
「だんだんと、少しずつだけど、歌えていくのがわかってきたから、全然飽きない!」と彼女。
それから1~2か月経って飛び入り的に彼女は歌った。
いつもの音楽仲間から、ほんとにたくさんの拍手をもらった。
でも歌い終わった彼女は困ったような笑顔で「ヒザがふるえて止まらないよー。。」と言ってた。
カーオーディオの使い方としちゃ、マニアックだけど、誰にもじゃまされず、迷惑もかけずに車でずーっと同じ歌の練習している人もいるって話。
コレがかれこれ6年以上前の話。以来彼女のオハコになってる。
「胸いっぱいの愛を」
Whole Lotta Love [ Aco.cover ]
でも、いきなり「500回は歌ってからじゃないと人前じゃ歌えない」なんて言われたら、ドン引きだわなw
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by ホンダアクセス