昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

Seven Stones by Genesis

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Genesisの71年のアルバム「Nursury Crime:怪奇音楽骨董箱」のB面1曲目。

[ Seven Stones ]

 この歌詞をなんとか自分なりに翻訳を試みたがこれがなんともわかりにくい。

 

で、ネットなどでいろいろと調べてみた。

 

イギリス南西部のコーンウォール地方の沿岸には7つの(実際には多数の)岩礁があるらしく、そこである船が近道をしようとして座礁してしまった事故があったらしい。

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この地域はそういう事故が昔から多く、大きな岩礁灯台を設けて事故を回避させているらしい。

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そんな事故がこの歌詞の元(背景)になっていると言う人もいるようです。

 

またイギリスで石が並ぶと言えばストーンヘンジを彷彿される方も少なくない。

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石が並んでいる様はとても意味深く感じるもの。いまだに謎も多い。

 

「7つの石」と日本語で表記しても、どこか神秘的な?何か意味深いものを表しているようなニュアンスは伝わってきます。

(結局それだけだと、何もわからないのだけれどw)

 

また、冒頭に登場するTinkerは一説によれば「麦からお酒を作った人」と言うものもあります。古い歌に出てくるそうです。(詳細未確認です、すみません)

 

Tinker :英和の辞書には「便利屋、よろず屋」なんて書かれています。

それを職人と訳すのには少し抵抗がありましたが、ピッタリな言葉が見つからなかったのでお許しを。

※仕事の定まらない人と言う意味もあるようです。「その日暮らし(流し)のなんでも修繕屋」と言った感じでしょうか。もしくは器用貧乏な便利屋さん。

 

個人的には木の葉を掃除している様から児童文学「MOMO」に登場するベッポを彷彿しました。)

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 本題に戻って

 

[ Seven Stones ]の歌詞の構成は、3人の職業人の小さなエピソードからなります。そして、その3つの話のどれもが「老人の嘆き」になっているという大人向けの紙芝居的な?曲です。

 

 では。訳してみましょう(^^)

 

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Seven Stones「7つの石」

 

I heard the old man tell his tale

老人が話してくれた

Tinker, alone within a storm,

ある嵐の日の さびしい職人の話
And losing hope he clears the leaves beneath a tree,

希望を失くして木の下の落ち葉を掃除していたら

Seven stones
Lay on the ground.

地面に七つの石が置かれていた

 

Within the seventh house a friend was found.

そして彼は、7番目に訪ねた家で友に会えた。


And the changes of no consequence will pick up the reins from nowhere.
何の脈絡も無いと思っても、いつもと違った事をすれば、

どこからともなく、導いてくれるものがあるものだ


Sailors, in peril on the sea,

険しい海を渡る船乗りたちの話。

Amongst the waves a rock looms nearer, and not yet seen.

岩礁がすぐ近くにあっても波間からは見えない
They see a gull
Flying by.

その船の横を 一羽のかもめが飛んでいく
The Captain turns the boat and he asks not why.

船長は理由も語らず船の舵を切った


And the changes of no consequence will pick up the reins from nowhere.
Nowhere.

根拠がわからないようでも、変化を伴うことをすれば、

どこからともなく、導いてくれるものがある


Despair that tires the world brings the old man laughter.

世の中の嘆き悲しみを老人は笑うばかり
The laughter of the world only grieves him,
Believe him,

世の中の笑いはただただ老人を深く悲嘆させる

だから信じなさい
The old man's guide is chance.
老人の知恵の中にある、きっかけの話を


I heard the old man tell his tale:
老人から聞いた話


Farmer, who knows not when to sow,

種蒔きの時期がわからないという農夫がいた。
Consults the old man clutching money in his hand.

片手にお金をつかんで老人に相談にきた
And with a shrug,
The old man smiled,

老人は肩をすぼめて、微笑んだ
Took the money, left the farmer wild.

お金はもらって、野生のままでいいんだよと放っておいた


And the changes of no consequence will pick up the reins from nowhere.
Nowhere.

段取りなんて考えずとも、日常を変化させれば

どこからともなく導かれていくもの。

Despair that tires the world brings the old man laughter.

世の中が疲弊し落胆している事を老人は笑うばかり
The laughter of the world only grieves him, believe him,
The old man's guide is chance.

世の中の笑い声は老人をただただ悲しませる。

だから信じなさい。

老人の知恵には、好転の”きっかけ”があると。

 ++++++++++++++++

 

まず、曲のサビに出てくる歌詞を日本語にする際にかなり悩んだ。(苦しかったw)

 

And the changes of no consequence will pick up the reins from nowhere.

直訳すると

「結果(成り行き)を伴わない変化が、どこからともなく手綱を拾いあげていくことでしょう」

これ一度や二度、歌を聞いただけでは、英語圏の人でさえ?まずまず歌詞の意味が飲み込めない。(と思います)

 

で、日本人の私が意訳(飛訳?)を無理やりさせてもらうと

「あなたが信じていることを続けていても、けっして良い事は起きない。意味(根拠)が無いと思っても、そこで変化を遂げることが何かを導いてくれるものです」

 

こんな風な意味かな?ニュアンス重視で解釈してみた。

 

そこから前後の流れにあてはめて、歌詞全体の意味を考えるとやっと輪郭がつかめてきました。

 

職人の話、船乗りの話、農夫の話と3つ並んでいるけれど

冒頭の職人は、「alone within a storm」=嵐の中ひとり寂しかった

けれど彼は、7つ並んだ石を見て、木の葉の掃除をやめて家を訪ねてまわったら友と会えた。

船乗りは、座礁に乗り上げてしまいそうだったのを、カモメを見ただけで舵を切って事故を回避できた。

困っていた農夫は、老人に相談したけれど何も言われず、その種を蒔いたら実りを得た。

 

と全部が迷った(困った)人が(ちょっとしたキッカケで)思い切って転向すれば、幸せな解決に向かうものです。という話のようです。

 

ただ、「世の中で言う『この現象こそ神の啓示だ』とか『この事象は大事なサインを表している』なんてものはバカげた迷信だ(お笑いだ)と老人は笑う。

 

※はじめの例で言えば、「7つの石」が何かを示したわけじゃなく、思い切って家を訪ねてまわったことで友達が見つかったんだよ(幸いしたんだよ)と老人は言っているのです。

 

 

迷信や古い言い伝えを信じていること、毎日同じ事をしてることより、(根拠など無くても、何かをキッカケに)思いきって日常から変化をさせれば、そこに好機は見出せるものだ。どうしてそんな事もわからないんだろう」

 

つまり、迷信ごと(言い伝え)を信じて働いている民への【嘆き】のような歌かなと。

 

たいした英語力も、見聞もない推測だらけの私の見解です。これがどこまで本作(Peter?)の意図と合致しているか?は正直わかりません。

 

この、やさしく語りかけるPeterの声に始まって、転調を交えて不安定にメロディは妖しく、美しく響き、そして最後に力強くも悲しい響きで終わる稀有な名曲だと思います。

 

この動画はすてきなアニメにしたもので、リンクさせてもらいました。


Genesis - Seven Stones (1971) legendado

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※この時期のジェネシスの曲の魅力について。

 

曲間の、ほんのわずかな小節数でフワっと明るくなったり、急に暗く不安にさせたり、はたまた、急にやさしくなったり、時に妖しくなったりと、表情の変わる様。

私は、そんなジェネシスの曲調変化に惹かれてしまいます。

 

この曲にしても、イントロのナレーション的な語りかけの導入と、3つの職業の人物に起きた出来事、そしてやさしい調べの間奏や、劇的なエンディングそして、悲しく静かに終わる様はさながら様相が劇的に変化する紙芝居を見ているようです。

 

彼らの多くの作品の中には他にも「静かできれいな風景描写から激しい曲調(驚かせて?)に転じて、そしてゆっくりと沈んでいく」など、曲の中に、ゆたかな表情の変化があります。

 

長尺のクラシックなどにはこういった描写の変化も多く見受けられますが、この曲は5分程度なので、ちょっと忙しい?と感じる人もいるでしょう。(=私の第一印象がそうでした)

 

まぁ、、ヒットチャートを賑わす、ポピュラーな曲には、あまりないですね。

 

そういった部分部分の描写、様相の変化を楽しみながら、70年代のジェネシスの曲を聞いてもらえたらうれしいな、、と、老人に近くなった私がブログに書き起こしてみました。

 

それと、、余談ですが、、最近になって、ピアノで音楽仲間に伴奏してもらって、歌ってみたら、すこぶる難しい曲でしたw


Seven Stones [ Genesis cover ]