再放送ながら夜中だったので、NHK+で。
松本清張原作「けものみち」から3時間ほどのドラマに仕立てられた作品。
ひとことで言うなら、傑作。面白かった。
旅館の中居をしながら、半身不随の夫を世話している民子(名取裕子)という女性が、小滝(山崎勉)に出会ってから政財界のフィクサー(黒幕)の愛人(玩具)となり、そして小滝の言う「けものみち」から「幸せな未来」に向かう女の顛末。
時代がオリンピック前の昭和37年で、高速道路公団の天下り連中の話が生々しく絡んでくる。
黒幕の鬼頭(西村晃)は若い女性を軟禁状態にして飼っては、財産の一部を譲って解放するという色ボケした闇の大物(まぁ、大金持ちのスケベじじぃ)。
民子を執拗に追いかける刑事に伊藤四郎。いい味。
NHKにしては濡れ場たっぷりで、和田勉の本領発揮と言ったところ。
当時は新鋭の女優として、体当たりの演技をした名取裕子は正直上手くはないけれど、魅力的で、セクシーで、かつ、だんだんとふてぶてしくなっていく様がいい。
このカットの表情最高!
劇中、クールで頭の切れる小滝が言う「私はあなたを愛してしまった」のセリフがジェームズ三木と和田勉の作った最大の見せ場。(原作とはちょっと違う)
舞台の一部となったホテルはホテルニュージャパンらしい。
小滝(山崎勉)がなんとも謎めいていて、彼の野望は何だったのか?は最後までわからない。
劇中で黒幕の鬼頭が小滝に”無理”を言っても丁寧に断る場面で
「あいつはスキがない。CIAか?ヤツの身上を洗いなおせ」と小滝の評価を変えるところ、、いいなぁ。。
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昭和から平成、令和となっては満州の話も、戦後の企業買収(株買い占めによる乗っ取り)の話も、総会屋とか、やくざの抗争の話も、ほとんどの人が知らないか、興味を持っていない。
ましてや「戦犯」「東京裁判」「反共」「逆コース」なんてワードで反応するのは私を含めた還暦以上か、ネトウヨなどとSNSで呼ばれている?人たちくらいしかいないような気がする。そんな昭和の裏社会のお話。
まぁ、「けものみち」はいろんな人に見てほしい傑作でした。
「砂の器」「天国と地獄」の次くらいかな??
※昭和40年に池内淳子と池辺良で初映画化されているのも観てみたくなりました。