昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

ROME「家政婦が観た:時代の1ページ」

このところ、映画のレビューばかりになってしまったけれど、またまたいい映画を観たので、書くことにした。

 

これはネットフリックスが配信している映画で、映画祭などの特別な上映を除き、ネットフリックスの配信以外観ることができない。(日本だけでなく世界中で)

 

つまり、単館上映と言う形も取らずにネットで配信したもので、にもかかわらず多くの映画賞を得たことでも話題となった配信系映画。

※カンヌでは一般の映画館で上映されていなかったことを理由に賞レースから外されているようです

 

舞台は1970年前後のメキシコシティの「ローマ」地区に住む家族。

映画はその、ごくごく普通のメキシコの家族の日常の風景。

それらが家政婦クレオの視線で淡々と描かれる。

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メキシコシティの60年代の終わりから70年頃の話。

政治的に不安定な時期で家政婦クレオが務める家庭に起きたエピソードが描かれていく。

子育て、離婚、妊娠、学生運動、出産、女性の自立。

そんな出来事を通して女性の生き方(考え方)の変遷と家族愛について描かれている。

 

冒頭からのガレージのシーンは印象的。(と言うより生活様式=時代の移り変わりを象徴的に表している)

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モノクロながら、いや、モノクロだから?どこぞの写真展を観ているような?美しい場面がたくさん。それらを観ているだけでも多くの賞賛に値すると思う。

 

これら多くの、美しい写真のような画面の意味がわかるのには少し時間がかかる。

 

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※場面、情景、ディテールにいろんな意味が含まれている

 

観ているこちらに「?」と考えさせてから「あのね。この場面はね・・・」と監督が耳元でヒントだけ教えてくれるような運びがなんとも秀逸。

 

全体的にその場面の意味を咀嚼するのに少し時間がかかるのを計っているような演出が、ゆっくり静かに感動を与えてくれる。

 

 

結論ばかりを急ぐ今の時代のテレビやCMには無い、ちょっと古くて、ちょっと遅くて、とても贅沢な時間の流れを感じながら映画は進む。

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クライマックスでは「大きな辛さと小さな光」が同居していて重みのある秀作だと思った。

 

この映画を毎度ながら夫婦で観終わって、うちのツマさんと話したのは

「男性の印象がみょうに薄いね」ということ。

宮崎アニメにおける 母 の描写が妙に薄いように。

 

この作品は監督自身の記憶に基づく話だそうで「育ててくれたメイドさんへの手紙」だと某記事に書かれていたが、その表現されたリアリティに圧倒されたすごい映画でした。

 

どうやら洋の東西を問わず、60年代の男たちは身勝手で、男尊女卑的で、ひどかったようだ(苦笑)

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そんなエピソードながら男性の私が観ても不快で無いのは、根底に「監督のメイドさんへの愛と感謝」が流れているからだと思う。

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えっと、すみません。思いつくままにレビューを書いたので、ブログに流れができていない=まとまって無いです。。どこかフェリーニっぽいし。。

 

この、いくつも並行して出てくる感想がまとまらない感じ。。観ていただければわかっていただけると思います。=観てない人には???なww

 

 

「天才作家の妻」ハリウッドの大竹しのぶ?

ツマさんが「何かいい映画やってない?」というので

「天才作家の妻 ー40年目の真実ー」をチョイス。

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吉祥寺に新しくできたシネコンアップリンク

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アップリンクの中にある売店で。鏡の中の私。奥はうちのツマさん。
 

ノーベル文学賞を受賞した天才作家」は妻がずっと支え続けてきた。

もしくはノーベル賞の栄光に隠された【愛と嘘】

などと、広告のコピーにも書かれている。

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つまり「実は妻が書いていた!」というのが本編のハイライトじゃない。

 

なんて前知識を得た上で観てきた。

 

観終わった後の印象というか、感想というか、、

 

まさにこの妻の存在に尽きる。

 

その妻を演ずる ハリウッドの大竹しのぶ?ことグレン・クローズがすごい。

 

映画が始まる前に、うちのツマさんが

「あ、この人「危険な情事」の女優さんだ」と言った。

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う!恐ろしい!!あの、、あの人かぁ、、と私も思い出したw

 

とにかく「そこにそういう人がいそう感」が半端ない。

 

今回もまさに、そこにそういう人がいる感が全て。

それだけグレンの凄さが光っていた。

 

映画の中には「ノーベル賞授賞式」の舞台裏、進行とか、さらに20世紀の作家事情とか、いくつも興味深い場面はあったものの。。

 

この妻の愛情の深さ。まっすぐさ。悔しさ。諦観。母としての愛。40年の重み。

 

それらが湧き上がってくる授賞式での複雑な感情を見事に演じきっていたと思う。見つめる目の中に説得力があった。

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想定するに60を超えたあたりの妻が、若々しく輝いたり、沈んで老けたり、多様な顔を作中ふんだんに見せてくれました。(見事!)

 

正直、クライマックスはちょっといただけない感じ(展開)だったけれど、観終わった後の感じは悪くなかった。

 

大竹さんの舞台もドラマもそうだけど、全て大竹しのぶワールドになってしまう。

このグレンさんもそんな感じで、作品の全てを持ってっちゃう人でした。

現代が[ The Wife]というのもうなずけますね。

 

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あ、すでにゴールデングローブ賞で主演女優賞もらってるんですね。

アカデミー賞も主演女優賞にノミネートされているんですね。納得!

 

&作品賞とか監督賞に上がってないのも納得。。

 

 

「最強のふたり」」を観て

2011年の仏大ヒット映画「最強のふたり

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日本では東京映画祭でグランプリをとった作品。

 

正直あまり記憶がなかったけれど、有料ネット配信で観た。

 

最強のふたりとは?

首から下が麻痺してしまった大富豪のフィリップとスラブ街に住む黒人のドリス。

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現代[Intouchables]は英語のアンタッチャブルだから、まぁ直訳すると「触れあわざるもの」転じて「のけもの」なんて意味もあるらしい。

まぁ邦題にはヒットに向けての意図もあるだろうからね。細かいことは抜きとして。

 

映画の内容はとてもよかった。話が実話に基づいているというのもよくわかる。

 

例のごとく、ネタバレなレビューは書かない主義なので、(特にこの映画は前知識ない方がいいと思う)詳細は書かないけれど

□電話の場面

□抽象画の場面

□大富豪フィリップの娘と、黒人ドリスのやりとり

□耳マッサージ

などなど、とてもいい場面がたくさんあった。

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このふたりの関係に「健常者と障害者の良きあり方」なんて陳腐な表現は当てはまらない。もっとシンプルに友情である。

 

そんな意味合いから逆算すれば「最強のふたり」という邦題も悪くない。

 

夜の大捜査線から半世紀近く経ったのね。 

 

 

世代を問わず多くの人に観て欲しいと思ったので、2011年の作品ながらブログに書いた。