昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

映画「光」感想:「ネタばれほぼ無し」

週末はツマさんと2人で映画館へ。

 

「光」


河瀬直美監督×永瀬正敏主演!映画『光』予告編

 

全編通して、運びはおおむねゆっくり。
きれいなピアノの調べとともに静かに進む。

重くて、切なくて、美しくて、悲しくて、つらい。。
それでも地味に前向きです。120%涙がこぼれてしまいました。

 

印象的なセリフがいくつもありました。
(どんなセリフか?は観てくださいませ)

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とは言え、若い世代には表層的な部分しかわかりづらいかもしれません。

幼い頃、思春期、30を過ぎ、40を過ぎ・・・いつでもいいのですが、
沈む夕陽をじっと見つめたことがある人ならば、わかると思います。
というか、つまらないテレビばかり見ている人でも、わかってもらえると思いたいです。

 

見終わった後に、シーンを振り返って各人物の心理や言動、セリフの整理をしました。(咀嚼というか、反芻というかw)

 

で、思いました。何よりこの監督自身が書かれた脚本が秀逸。

※もしダメ監督がこのプロットで作ったら、ケータイ小説か、ヤングジャンプな?話になってしまうかもですよ。でも本編ちがいます!ホンモノです

 

夫婦50割引を使って観たうちら夫婦には、はからずも現実と重なる部分が多々あり、余計に泣けたのかもしれません。正直50代60代の方にオススメの映画です。

 

もし、20代、30代で「まぁまぁよかったよ」とか
「だいたいは、いいんだけど一部ちょっとなぁ・・」

なんて感想をお持ちの人がいましたら、50を過ぎてから、もう一度観てほしいなぁ。
“ぼんやりとわかった気分”だったところが「すごくよくわかる」話になると思います。
そして、あらためて・・

 

タイトルの意味が沁みます

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このポスターいいんですが、左のキャッチコピーは全然ダメですw

※女優さんは若いころのカルメン・マキさんに似てます(わからない人のが多いかw)

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映画の手法としては光と影の使い方をはじめ、カメラワークがすばらしいです。監督が写真の学校出身ということらしく(wikiより)ほんとにすばらしいです。

(う?写真の学校出身か・・それ知って、またさらに・・・きますよ)


役者さんたちも皆、みんなすばらしかったです。

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主演女優さん、とってもきれいで、キュートで、そして上手。もちろん永瀬さんは最高にイイです。説得力ある演技には感服です!ほんとカンヌで主演男優賞とってほしいです。

あぁ・・いい映画を観ました。(「この世界の片隅に」以来かな??)

この監督の他の作品も観てみます♪

 

上手くて、つまらない。下手なのに面白い。

 日曜は健康診断を午前中にすませて、新婚さんのホームパーティに招かれてワイワイ&わーいわーい!
目玉はおいしい料理の数々&リビングでのアナログ盤の視聴会。もちろん他愛のない会話も楽しい♪

 

ドゥービー、富田ラボ、クルセイダーズ、ベン・シドランなど・・・いろんなアナログ音源を聞く。


Tomita Lab feat Yuko Ando - あの木の下で会いましょう 14.985 fps


びっくりしたのはポリスの「見つめていたい」もう誰もが知っている名曲だけど、アナログで聞いたのは初めて。(^^)断然イイ!
デジタルよりも、中低音がボンと前に出ていて、どこか音があったかい。すでにこの頃はラジオからの音もCDだったのかなぁ??とか思う。

 

まぁオーディオルームの再生装置もとてもいい機材だったので、基本的にすっごくいい音なんだけど、やっぱりCDをかけると音は変わる。

我が家にはレコードプレーヤーは無いけれど、あのオーディオルームで聞くために、ちょっとLPを買い戻してみようかな?なんて思った(^^)

 

One Size Fits All [12 inch Analog]

One Size Fits All [12 inch Analog]

 

 

 


その夜自宅に戻って、ツマさんと二人で玉置浩二の昔~最近までの曲をざざっとyoutubeで再生。

二人してため息。。(TーT)スゲーわ。。


玉置浩二 メロディー(アカペラ)

「音程外れてません、リズム外れてません、声出てます。カラオケ採点で99点です」とかまったく無意味だよねーって話をする。
歌は正確さじゃない。。歌は聞く人の心を動かして初めて歌なんだと納得。上手くても何も伝わってこないのは歌じゃない・・と。
じゃなかったら初音ミクが一番いい歌手になっちゃうじゃんねw

まぁ、、美味しく贅沢な一日でした。あははw

 


+++++++++++++++

 以下マニアックな話。

 

歌、ギター、もしくはその他の楽器に関わらず、世の中には「上手いのにつまらないもの」がある。上手いとか下手って言葉自体があいまいだけど。

 

ただ、見る、聞くのはお客さん。
お客さんはどこを見て、何を聞いて良し悪しを決めているのか?
その中のひとつの大きな要素として「上手い、下手」があるのは誰でもわかる。

 

1.プロに近づいていくと・・・。

 

歌や演奏でお金を稼ぐ人たち=プロのミュージシャン。

中には誰もできないような高度な技術(曲芸?)でお客さんを魅了する人もいる。
オリジナル曲の詩やメロディで感動させる人もいる。
かと思えば、大して上手くもないのに発想の面白さで魅了する人もいる。
中には演じる本業(歌や演奏)の合間のトークの面白さ(感動させてくれるor楽しませてくれる)で魅了する人もいる。

歌にしても楽器にしても、99.9%の人たちは「初めは素人」からスタートする。

そして思う。願う。

「もっと上手くなりたい!」
スタートした時の動機。
上手い人の演奏に感激したから。

(あんな歌が歌えたら、あんな演奏ができたら・・・)


ミュージシャンへのあこがれから始める人がほとんどだ。

 

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※この画像はレディガガの歌をyoutubeで歌って番組に取り上げられた少女がガガのステージにいっしょに立って歌ったライブ。こういうことも最近はある>すごいぞyoutubeって感じだw


「上手くなりたい」一心で練習を重ねて、技術を習得すること。
そして、人前で演じることを試みる。

これが家族・友人・知人の目や耳にふれて「上手いね」と言われるようになれば、もっともっと練習に励む。そうして、世の中のプロに近づいていく。

 

近づいていくと、いや、近づけば近づくほど既存のプロとの比較になっていく。
だから評価はだんだんと厳しくなる。

 

「素人にしちゃ上手いね」とか「出来てるけど荒いね」と言った具合にだんだん評価が厳しくなる。


さらにプロに近づくと「腕はいいけど、プロは無理かな」「うまいんだけど、つまらない」とか「何も(心に)来ないんだよね」なんて言われることもある。(残酷だけどよくある話)

 

実際、プロに近いアマチュアはゴロゴロいる。

そんな中、テクニックで勝負をしようとがんばると、多くの場合はどんどんつまらなくなってしまう気がする。それこそ上には上がいるしw

 

それよりも自分のウリは何?自分の内側から出てくる衝動とか、自己表現とか、そういうものを高い技術で見せようとして練習してきたはずなのに。。


まぁ、、人の何倍も、何十倍も練習して・・・。

「いやぁ上手い。うまいけどつまらないんだよね・・」は哀しいね。

 

2.下手でも面白いもの(いいもの)

で。下手でも面白いものがたくさん出てきたのがyoutubeだけれど、これはすごい勢いで素人が歌や演奏を披露している。

もちろん下手で見てられないものもたくさんある。だけど、たいして上手くない(要するに下手)のに面白い(良い)ものもたくさんある。


Video Killed the Radio Star by The Wrong Trousers

 

これは比較対象がプロじゃない。学園祭とか、友達のライブパーティとか。。そんな中で比較してるんだと思う。

 

例えば中学校のグラウンドに午後4時頃。塀越しに見える野球部、サッカー部の子たちが試合をしている。

 

これはけっこう面白い。けっこう見てしまう。
自分の子どもが活躍しているわけでもない。ましてやどこかスカウトが来るほどの原石がいるわけでもない。

それでも面白い。


中学生 アメフト練習★

 

 かの秋元氏が素人女子集団をプロデュースしてお金をたくさん稼いでいらっしゃるようですが、彼の中にある、クラスメートががんばっているのを応援しようと思うファン心理はまさにこんなところから出てきていると思う。いわゆるAKB商法の基本だ。

 

わかりやすく言えば、

 

3.耳がゆるくなるって話

 

どこぞのオーケストラを見に行って、明らかに間違えている音が出ることはほぼ無い。
チューニングがおかしいぞ?ってのも無い。リズムが合ってないぞ?ってのも無い。
もしあったら、「調子悪いね」じゃ済まない。
「明日から仕事がない」世界だろう。

 

だけど、地元のお祭り(学園祭)でやっているバンドを見てると
「なんか下手?」
「どっかチューニング狂ってる?」
「コーラス外れてる?」
なんてわかるような演奏もよくある。


でも、お祭りの出し物としては十分楽しめるレベル。ってのがある。

ましてや、そこで演奏している人が「誰さんの娘だよ」とか知ってれば十二分に楽しめるw


音程、リズム、音量、音色(声)がどこかあぶないwのに楽しい。って感覚。
子どものピアノの発表会もそう。下手なのわかっているけど見に行くとけっこう楽しい。

 

これは「聞く耳がゆるむ」という現象なんだと思っている。

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 ※耳がでっかくなっちゃった、と、ゆるむは別物w

 

マチュアバンドを見に行った時に、プロでもない、評論家でもない、ましてやプロデューサーでもないのに(あ、こんくらいの下手さで、この曲やるのね)みたいな感覚って1瞬でわかるもの。

で、そこからは「上手さ」を求めずに聞く。

「彼らは何をしているのか?or何を演じているのか?」という、いわば中身と言うか、
その姿勢を楽しむ。やろうとしていることを感じ取って楽しむ。もしくは本人たちの楽しんでいる姿を楽しむ。

もしその中に何か光るものでもあれば、人はちゃんと魅了されるし、それがプロレベルなのか?なんてこととは、ほとんど関係ない。


実際アマチュアバンドのセッションでも、大して上手くないけど、持ってっちゃうローカルなスターはいるもので、お客もその中身を見て楽しんでいる。

 

そんなところまで聞いてるのとか思うかもしれないけれど、残酷なほどに素人の耳は敏感なもので、「いい音だ」とか「いい演奏だ」とかカンタンに言うけど、ちゃんと聞き分けているからすごい。

まぁ、だから売れる売れないがまた出てくるんだと思うけど。


この耳をゆるめて聞く」話はまた別の機会に書こうと思う。

 

 

 

 

あの頃の遊び。あの頃の仕事。

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心の師匠のRさんがこの世からいなくなってしまった。


もう10年以上会ってないし、ネットでのやり取りなんてまったく無い人だったから、
特に生活の中で何かが変わったということはない。でも、いなくなってしまった。

 

R氏から教わったことはあまりに多くて書ききれないほどだ。


私が初めて社会人として働き始めた1年目から40代まで。

ずっとずっと師匠だった。


「仕事」と同時に「遊び」も教わった。
「遊び」の意味は広い。


「お酒の飲み方」とか
「お金の使い方」とか
「自分の感性を信じること」とか
「バカなことをやること」とか

いろんなことを教わった。

そういえば結婚の相談も離婚の相談もしたなぁ。

 

++++++++

 

私@23歳「いやぁ昨夜はまいりましたよ。○さんって、酔うとくどいっすね。そのうちだんだんエキサイトしてきて、なだめるのに大変でしたよ。」
こんな話をR氏にすると
R氏「おまえさ。ただただ話を聞いてちゃだめだよ?酒の席の話題は5分で替えなきゃダメなんだよ。」
私「え?5分?」
R氏「宗教でも政治の話でもエロ話でも別にいいんだよ。話題は何でも。ただ5分経ったらお前が『ところで・・とか、話変わりますけど・・とか』言って話題かえるんだよ。」なんてこと。

 

社会人1年目の私にとって(とっても小さいことも含めて?)ほんとに大きなことをたくさん教わったw

 

他にも「商談相手と飲むときは、飲んでる最中に商談の話は一切しないこと。
帰るときに「すみません、○○の件連絡しますのでお願いしますね。今日はありがとうございました」で終了。
条件とか、期限とか、一切話さない。それは昼間しらふで話せばいい。なんてことまで教えてもらったのもRさん。

 

初めて競馬場につれてってもらったのも。そこで。

「1万が5万になったとするじゃん。5万全部に次のレースにつぎ込むじゃん。
で、20万になったとるするじゃん。そしたら20万全部次のレースにつぎ込めるじゃん。
だから硬いレース3つで50万とか100万になるわけ。
で、どっかで取れなくても損は1万じゃん。」

 

なんて話もしたなぁ。


小心者の私は「でも5万になったら、次は4万だけ掛ければ取れなくても損しないじゃん。」とか反論したこともあったw

「最初から無くなってもイイと思って掛けるんだからそれはない」

なんて言われたのも懐かしい話。

 

まぁ。。そんなこんなで、自分はどれだけ助かったかわからない。どれだけ楽しさが増したかわからない。

 

そんな師匠だった。

 昭和のよき時代に生きた人だった。

 

「Rさん。むこうでさっそくI君とあそんでる?」

 

多大なる感謝とともに心から冥福を祈る。

 

+++++++++++++++++

 

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昭和の時代の一番よかったところは「日本が右肩上がり」だったこと。
経営者も労働者も「今日より明日はよくなる」と信じて汗をかいていたこと。
「失敗してもだいじょうぶ」と信じて働いてたこと。

これは昭和の時代の終身雇用制度のもたらす最大の良い点だったと思う。

 

だから先輩は「がんばればちゃんと良いことが待ってる」と自信持って後輩に言ってたし。
上司は「仕事をしっかり覚えてくれたらまかせたい部署がある」なんてことも部下に話すことができた。出世、昇給、休日は少なかったけど、希望があった。

もちろん会社の業績が 年々右肩上がりなら、住宅ローンを組むのも安心だし、子育てだって夫婦そろってがんばれる。「明日は今日よりよくなる」と信じられるなら。

もちろん終身雇用制の悪い点も多々あったけれど、あの「誰でも希望を持てるところ」は、今の会社員や自営業者を含む労働者には無いに等しい。


無論、昭和の時代の右肩上がりの日本にだって倒産した会社はいくらでもあったし、夜逃げした経営者も少なくない。

 

だけど。だけどさ。

「稼ぎに追いつく貧乏なし」なんて言葉もあった。
真面目に仕事をしていればいつの日か貧乏から脱出できるという(根拠の無い?)前向きな言葉。

 

ただただ今は庶民(労働者たち)に希望が無い。
あるのは不安。妥協。手にとってやっと実感する現金。

 

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大企業の管理職以上、公務員、追い風に乗った中小企業の経営陣くらいしか将来に大して希望が持てない時代。(1割いるのかな??)


結果として今の20代30代の人たちが、結婚、子育て、将来の生活プランの立てにくい時代になったと思う。

 

それでも今から20年経った時に
「やっぱり日本でがんばってきてよかった。次の世代のためにも、いい社会を作っていかないといけない」
なんて前向きな気持ちを抱く人たちがどれだけいるんだろう?

 

すくなくとも国の政策がうまく行ってない事態を「誰かのせい」にしちゃいけないと思う。