映画「あん」レビュー(ネタばれ少々あり)
先日、河瀬監督最新作の「光」を観てとてもよかったので同監督の前作「あん」をNetflixで観た。
「光」についてはこちら。
今回は少しネタばれがあることを先に述べておきます。具体的なネタばれは冒頭場面の説明程度です。ただ、描かれている内容の核たるところ、テーマについて書きましたので、映画「あん」について興味がある方は先に観てからこのブログを読まれることをオススメします。
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桜並木が満開な住宅街の一角。
ゆっくり歩く老女。
樹木希林さん演じるこの老女(徳江)が桜の花を仰ぎ見ている様はなんともいい絵だ。
少しさびしく、少し切ないピアノの調べ。
(監督はきれいなピアノの曲が好みなんですね)
ヨーロッパ映画のような作り。きれいな春の場面。
町角の小さな「どら焼き屋」さんの店長のところに「働かせてほしい」と老女がやってくる。
そこから“店長さん”と“老女”の交流が描かれていく。
題材としてはとても重い部分がある。
けれど、この老女、店長、そして高校に進学する気のない女子中学生の合計3人のそれぞれの「自由」がテーマである。もう少し言うと「不自由さ、囚われからの脱出」とでも言おうか。
「自分はこうありたい。だけど許されない社会」が目の前にある。
囚われの中にいるのはつらい。外に出るのは大変だ。大変だけれど外へ出るんだ。自由になるんだ。自由はいい!と言う思いが観ているこちらにやってくる。
老女は50年以上囚われて生きてきた。
店長は数年囚われていたし、そこから出ても自由はなかった。
女子中学生は、今自分が自由じゃない、囚われているのを感じた。
こんな3人が3様に自由を求めて動き出す。
徳江がドラ焼きの中にある「あん」を作る。
お店の中で煮ている小豆が「どんな旅をして、どんな日々を経てこの店に来たのか」を小豆から聞くんですと語る老女。
カゴの中の小鳥の声に耳を傾ける老女。
冒頭の桜の木を仰ぎ見ていた老女は桜の声を聞いていたのだろう。
全体を通して、先に観た河瀬監督の最新作「光」同様ゆっくりな運び。
ドキュメンタリー映画のような会話。
出演者の好演。すばらしい映像。印象的な会話と絵。
河瀬監督のタッチ、切り取り方、好きです。
※この場面すごくよかった。
個人的には、絶望の闇の先に見える「光」を描いた「光」の方が好みだけれど、「光」の場合は、認知症の親の介護やだんだんと自分の能力が失われていく様など、若い世代にはピンと来ないところもあるかと思う。しかしその分、私のような50後半の者には生々しくて重い。つらい。
逆に「あん」は、誰が観てもつらい半生を生きた老女を描いた分、そのつらさに「わかりやすさ」がある。これは世代を超えた老若男女に響く話だと思う。
ただ、「この人は過去に何があったの?」と言う疑問から「実はこういう人だったんです」という流れで話を進めていくと「あー、なるほどね」で終わってしまう部分がどうしても出てくる。それが残念だ。
推理小説などで、犯人とそれを追う探偵だけがわかっている部分をお客に種明かしして終わる手法は、その内側にあるものが薄れてしまうような気がする。種を明かして納得させることに主眼を置いてたわけじゃないのに。。
描きたかったのはその内側なわけで。
そういう点から考えれば、これは差別や抑圧に主眼を置いたものでもない。(もちろんそういう面多々あるんですけど・・社会派の映画じゃないわけで)
誰もが何かに囚われているけれど、自由はいい。誰でも自由になれる!自由に生きよう!という、原作のドリアン助川さんの熱なんだと思う。
先にも書きましたが俳優さんたちの好演、カメラワーク、それから、もちろん脚本、流れ、BGM、編集(間というか、時間の取り方)などなど、すべてにおいて秀逸です。何より丁寧にしっかりと作られている作品だと思います。
それにしても希林さんの演じる「徳江」の表情・声は特筆ものです。
(これは「光」のラストでもじゅうぶん伝わってきた)
こういうお婆ちゃんが自分の知り合いにいたかのような存在感。
※希林さんじゃなきゃ出ない味。
彼女無しで撮ることは考えられないほどの監督の惚れ込み様が伝わってきましたw
(ドリアン助川さんからの要望がキッカケでキャスティングされたようです)
河瀬監督、熱いですね!
父の日。娘夫婦と小旅行[伊豆高原]
週末。土曜の朝から娘夫婦と伊豆高原へ。
ひどい事故が東名であった日。
その影響なのか、はたまた区間工事の影響なのかわからないけど、、渋滞もまた楽し。
現地に着く前に食材調達。
iphoneのシリで「この近くの魚屋?」と言えば教えてくれるからすごい時代だw
今回は娘ちゃんのリクエストでホウボウとカワハギでアクアパッツァ。
それからチーズフォンデュ。軽くお酒も進んで会話に弾みがつく。
ツマさんの企画はいつも美味しいものが出てくるのでうれしい。
夕飯が終わって、メインイベントにw
今回は娘夫婦が「人生ゲーム(7代目)」持参w
オトナが本気でゲームをするなら、やっぱりボードゲームがいい。
人生をルーレットに託して進む。カララララ。
就職、結婚、出産、マイホーム購入に加えて最近のは転職(or職業ランクアップ:出世)まである。私はマンガ家からスタートして途中でカフェのオーナーに。
(いいなぁw)
それからオプションとしてドリームエリアでお宝ゲット!
私はオペラハウスのオーナーになってしまった(セレブかっ!)
で、いろんな人生経験している親父?としては「このあたりが40代なんだよな」なんてギリギリの息子に要らぬ説明しながらルーレットを回す、カララララw
分岐点がいくつもあって、そこでのルーレットはまさに人生を賭ける感じ?
カララララ。みんなどこかで人生を賭けるんだよなw
なぁんて50後半の親父は感心しながら終始笑顔でゲーム終了。
その後、娘と息子が生まれた頃の映像(DVD)の上映会。
まぁ20ウン年前のふたり。かわいらしいことw全然変わってないじゃんw
今年から若いパパ、ママになっていくんだなぁ・・なんて思って鑑賞してたら、
「あ、そうだ、青ちゃんに父の日のプレゼント!」サプライズに感激(ToT)ヲヲ!
さてさてこの夏生まれてくる初孫はどちらに似るんだろうか。
翌日は伊豆シャボテン動物公園へ。
これが思った以上に面白かった。
動物たちとの距離が近くてふれあえる。
※このアロハがプレゼント!
カピバラ初めてさわってみた。(けっこう剛毛なのねw)
孔雀は目の前で突然鳴くわ(クエーン!!)
マーモセットは何かを語りかけているかのよう。。
モルモットはおしくら饅頭してるわ、フラミンゴがあげた餌をダックにとられないように突っつくわw
鳥や動物たちにふれあった後に、ヒドラの中へ。
この中へ入るといろんなサボテンに。
どことなくサンゴっぽいんだなぁ。。
※名誉園長はじっとしてました。
まぁ動物にとって人が人のために造った動物園ってどこまでいいものなのか?は別として・・・とても充実のテーマパークでした。単純に楽しめました。
両日ともに天気に恵まれて何より。
なんとも楽しい休日を企画してくれたツマさんと娘夫婦に感謝。
いつもありがとう。次はチビちゃんがいっしょだねw 一段とにぎやかになるね!
娘夫婦たちは、これから何回ルーレットを回すんだろうなぁ。。カララララ。
私もツマさんももう一回くらい回すのかな?カララララ。あははw
(おわり)
映画「光」感想:「ネタばれほぼ無し」
週末はツマさんと2人で映画館へ。
「光」
全編通して、運びはおおむねゆっくり。
きれいなピアノの調べとともに静かに進む。
重くて、切なくて、美しくて、悲しくて、つらい。。
それでも地味に前向きです。120%涙がこぼれてしまいました。
印象的なセリフがいくつもありました。
(どんなセリフか?は観てくださいませ)
とは言え、若い世代には表層的な部分しかわかりづらいかもしれません。
幼い頃、思春期、30を過ぎ、40を過ぎ・・・いつでもいいのですが、
沈む夕陽をじっと見つめたことがある人ならば、わかると思います。
というか、つまらないテレビばかり見ている人でも、わかってもらえると思いたいです。
見終わった後に、シーンを振り返って各人物の心理や言動、セリフの整理をしました。(咀嚼というか、反芻というかw)
で、思いました。何よりこの監督自身が書かれた脚本が秀逸。
※もしダメ監督がこのプロットで作ったら、ケータイ小説か、ヤングジャンプな?話になってしまうかもですよ。でも本編ちがいます!ホンモノです!
夫婦50割引を使って観たうちら夫婦には、はからずも現実と重なる部分が多々あり、余計に泣けたのかもしれません。正直50代60代の方にオススメの映画です。
もし、20代、30代で「まぁまぁよかったよ」とか
「だいたいは、いいんだけど一部ちょっとなぁ・・」
なんて感想をお持ちの人がいましたら、50を過ぎてから、もう一度観てほしいなぁ。
“ぼんやりとわかった気分”だったところが「すごくよくわかる」話になると思います。
そして、あらためて・・
タイトルの意味が沁みます
このポスターいいんですが、左のキャッチコピーは全然ダメですw
※女優さんは若いころのカルメン・マキさんに似てます(わからない人のが多いかw)
映画の手法としては光と影の使い方をはじめ、カメラワークがすばらしいです。監督が写真の学校出身ということらしく(wikiより)ほんとにすばらしいです。
(う?写真の学校出身か・・それ知って、またさらに・・・きますよ)
役者さんたちも皆、みんなすばらしかったです。
主演女優さん、とってもきれいで、キュートで、そして上手。もちろん永瀬さんは最高にイイです。説得力ある演技には感服です!ほんとカンヌで主演男優賞とってほしいです。
あぁ・・いい映画を観ました。(「この世界の片隅に」以来かな??)
この監督の他の作品も観てみます♪