香七絵にて
今週のお題「暑すぎる」
心のうるおいは足りているか?
心が熱中症になってしまいそうなほどの夏も、
台風のニュースとセミの声で終わりが近いことを告げている。
しかし、このところ、なんとも世知辛い。
ずっと辛い。
さらにコロナの影響で3月から8月までの記憶が薄い。
あっと言う間に夏が終わっていく。
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週末は音楽仲間のI氏のミニライブに行ってきた。
日曜の昼。
ツマさんの家から車で15分。近い。
着いたお店は吉祥寺から少し北にある、個人経営のしゃれた喫茶店「香七絵(かなえ)」
店の表には氷旗。
木の枝の取っ手のついた扉。
扉らしきもの?が二つ並んでいて、迷っていたら中からライブ演奏予定の彼が現れた。
「こっちですよ」
「あ、ありがとう」
中に入ると10余りの席はほとんど埋まっていた。
(とは言っても、席と席は適度な距離があり、店内でもソーシャルなんちゃらは確保されている)
私とツマさんと2人で店の奥に行ったら、
先に席に2人テーブルに掛けていたMさんが
「お二人でどうぞ」と譲ってくれた。
Mさんはいつもいつも細やかな気遣いの人で、お言葉に甘えて着席。
ありがとう。
トーストセットを注文して演奏を待つ。
パンもゆで卵(絶妙!)も、とても美味しい。
美味しいは何よりの幸せ。
中には陶器。絵画。手作りの小物?。彼のCDなど。
そして、メインの演奏。
ガットギターによるソロ演奏。
曲間の話の中に幾度か登場したのは私の愛してやまない宮沢賢治氏。
エニドのTシャツを着て宮沢氏を想うギターを弾く。
調べはとてもやさしく、メロディを支える低音やアルペジオはさながら
暖かいオルゴールのようだ。
壁にかけられていた水彩画。
演奏終了後に彼のCD(ミニアルバム)を購入して帰宅。
ソロギターに耳を傾けていると
「ギターは最も小さなオーケストラだ」なんて言われているのを思い出す。
演奏後に彼自身が変則チューニングについての話を解き明かしてくれた。
「左手の形と鳴っている和音の違い」が小さな疑問ではあったけれどそれも納得。
演奏の後に話をさせていただいた方も、なんとも穏やかで暖かい方ばかり。
ここは陽だまりか?みたいな。
演奏終了して、しばし歓談。
感想を述べるのも無粋ながら、ゆるくて、やさしい時間がとても楽しかったです。
++++++
こんな世知辛い世の中でも、やさしくて暖かい場所はあるものです。
来月は彼の弾くピアノをバックに歌わせてもらう話もあって、それについてはまた別のブログで書きたい。
彼のギターは下記リンクから聞くことができます
「硫黄島からの手紙」をやっと観た
今週のお題「怖い話」
お盆休みということもあって、見逃していた映画を配信動画で見た。
「硫黄島からの手紙」
正直公開時から15年も経っている事に少々驚いた(つい数年前の映画だと思っていた)
まぁ歳を取れば、月日が経つのは早いから仕方ない。
この映画は「父親たちの星条旗」と一対になっているとは知っていたので、両方観てから感想を書こうかと思っていた。
まぁそれがいつになるかわからないので感想を書いておく。
印象に残ったセリフが二つある。
「ここで自決するのと、ここを逃れて、別の部隊で合流してまた戦うのとどちらを天皇陛下はお望みだと思う?」
というセリフ。
もう一つは「オレといっしょに投降してくれるか?」
の二つ。
リアルな戦争映画を観ると今でも戦争や内紛などが起きているニュースを見るのも聞くのもつらい。
そして、もしかしたらいつ日本が戦争をする国になってしまうのか?考えるのもつらい。
もちろん現行の憲法9条がある限りは戦争放棄という大前提の上で日本はさまざまな国際的な策を打って戦争を回避していくのだろう。
けれど。それも人が決めること。
いつ何が起きるかわからない。
たまに軽口の調子で聞こえてくる「あんな奴ら、やっつけちまえばいいんだよ」なんてセリフが日常にあふれてくると本当に怖い。あんな奴らの中には自分が入っていることを理解できていない。
例えは悪いが、テレビ、ラジオ、ネットなどマスメディアが「〇〇は健康にいい」と言えば、町の〇〇売り場では売り切れ続出する世の中だ。
この映画の中で負傷した米兵を救護(捕虜として捕まえて)して英語のできる日本兵が話をする場面がある。
その話を聞いていた1人の日本兵が「鬼畜米兵たちに根性があるとは思っていなかった」「家族を大事に思う気持ちがあると思っていなかった」と、明日死ぬかもしれない戦地で呟く。
戦後75年経って国の権力者が国民を誘導(洗脳?)するのは、戦前よりもカンタンになったと思う。
「硫黄島からの手紙」とても重く響いた。
こういう映画を日本は作らないね。。
「アウシュビッツ死者たちからの告白」を見て
今週のお題「怖い話」
一番怖いのは「人がやること」
それを題材にした話はたくさんある。
生霊?戦争?新型爆弾?
この話はナチスドイツによる大量殺りくである。
「アウシュビッツ死者たちからの告白」
恥ずかしながら、アウシュビッツ収容所の話は外観程度しか知らなかった。
このNHKスペシャルの中で写される映像と語られた話によってさらに輪郭がはっきりした。
番組はこのアウシュビッツで「ゾンダーコマンド」と呼ばれた “同胞をガス室へ誘導する役割や死体処理などを担ったユダヤ人特殊部隊”の人たちが地中に埋めた手紙(手記)の話。
ゾンダーコマンドたちは同胞から、同胞の子供たちから「裏切者」と呼ばれた。
それでも生き抜いた。そんな男の手記。
死体処理の映像などは目を覆うほどだった。
そのゾンダーコマンドたちの手記もほとんどが地中で何十年も経っていたため、激しく劣化していて文字が解読できなかった。それが、昨今のデジタル技術を使って復元され、解読された。
主に3人の男の手記にスポットが当てられた。
「自分の家族をガス室送りにしても、生き延びた男」の話は強烈だった。
ナチスを憎みつつも、自分の罪を負い、苦しむさまの中に
「オレは生きて、復讐してやるんだ」という決意が書かれていたという。
誰もが死にたくはない。
しかし家族や同胞を殺すための行為をし、その遺体を燃やし、遺骨を砕き、地中へ埋める作業を強いられた。そして生き延びた。
そんな日々の中、思ったことが手記に鮮烈に描かれていた。
同じ作業をしているゾンダーコマンドと話して、反逆を計画してもうまく行かず、結果旧ソ連軍が解放するまで繰り返した。
番組の終盤に、1人生き延びたその男の後世を追ったドキュメントが描かれていた。
アウシュビッツで何をしてきたのか?
何が起きていたのか?
彼は娘に、一切語らずに過ごし、そして天寿をまっとうした。
その娘に番組担当者はこの手記の内容を話した。
私は、その娘の言葉に胸をうたれた。
手記の内容を知った娘はショックを受けながらも語った。
「父の復讐は、遂げられましたのでしょう。終戦後に生き残った家族と自分が幸せに生きたことで。父はいつもユーモアを語り、笑顔の絶えない人でした」という話。
「こんなにひどい目にあわされてもオレは幸せを勝ちとったんだ」
これこそが奴らに対する復讐だったと。。
昨今、人気を博している企業戦士のドラマとは大違いの話じゃないか?
何が「倍返し」だ。やられたらやり返す?あまりにもチープすぎる。
それじゃ同じ土俵で相撲を取ってるだけで、何も解決しない。
もし戦争をこの世からなくしたいと願うなら、こう言ったチープな「復讐心」こそ要らない。