まおゆう 大河アニメ
年末年始の休みは毎年のことながらあっと言う間に終わった。
それでも、めずらしく長編アニメ「まおゆう」を見た。
映画も2本見たけれど、その話はまた別の時に。
「まおゆう」のタイトルは「魔王」と「勇者」に由来している。
魔王と勇者と言えば、どこぞのRPGでは敵なのだが、このアニメは違う。
魔王が勇者と手を結ぼうと持ちかけるところから始まる。
勇者はきっぱりと魔王に「お断りだ!」と言うのだが、、。
多くは見ている人、もしくはこれから見る人のために書かないけれど。
物語の序盤のエピソードから中盤、後半と一気に引き込まれた。
世界を本気で平和にしようとしたら、どうしたらいいのだろう?と常に考える魔王とその先見の明から魔王にしたがって動く勇者とその仲間。そして教育をされていく一部の村人たち。
世界を本気で平和にしたいと考えたなら、どうしなければいけないのか?
また戦争や争い、差別はどうして続いてしまうのか。。
なかなか深い内容で、正直これは大人向けの素晴らしきファンタジーだった。
とりわけ中盤での農奴出身の女の子の演説では思わず熱い涙があふれてしまった。
そして終盤に向かって、どう集約していくのか?
もちろん理想郷まではほど遠い。
それでもどうしていくことが今の村人たち、近隣の国の人々たちに、さらに魔界の魔物たちにとっていい方向へと進むのか?
本気で考えられた(練られた)原作、脚本、演出に唸った。
※個人的に好きなくだりは
商人(これがまたかなり頭のいいやり手)に向かって魔王との駆け引きの場面で
魔王「私がこの世で2番目に信用しているものは[損得勘定]である」と言い放つ。
すると商人は「気に入った!」
で商談成立。
その帰り際に
商人「ところで魔王、この世で一番信用しているものは?」と尋ねられ
魔王が答えたときの商人の反応が痛快だった!
未見の人にはおススメです!
数年前の長編アニメでしたが、ホント素晴らしい作品でした。
週末に見た古い映画。『冒険者たち』
週末。ツマさんとの合流が夜9時頃になりそうだったこともあって。
ひとりで映画を観た。
「冒険者たち」1967年仏映画。
アクロバット飛行(凱旋門をくぐる)のパイロット(飛行機インストラクター?)のアラン・ドロン
エンジンを改造して、レースカーを作っているリノ・バンチェラ
鉄くずから、独自の芸術(オブジェ?)を作ってパリでアーティストを目指すジョアンナ・シムカス
夢の大きさに差はあれど、それぞれが明日の自分の成功に向かって生活している。
男女3人の間の愛と友情。3人それぞれに挫折があり、そこに訪れる宝探しの話。
財宝は?その行方は?そしてやってくる結末。
もちろんストーリーも面白いし、場面場面が心の琴線にふれるいい映画なのだけれど、なんと言っても魅力はこの3人それぞれと言っていい。
アラン・ドロンはどこまでもかっこいい。
リノ・バンチェラは渋カッコイイ!
ジョアンナ・シムカスは本当にきれいで、その振舞いもしぐさもファッションも可愛い。
夢に破れた後に3人で財宝を探し、それを手にするまでの話ならハリウッドでも描けただろう。
だけどその後の話~結末が、やっぱりフランスならではの話だよなぁ・・と思う。
ハリウッド映画はどれだけすごい画面(場面)を見せるか?にお金をかけるけれど、
フランス映画はどれだけ人物の心の動きを見せるか?に多くをさいているのがよくわかる。
今見たら、ふっと「天空の城ラピュタ」を思い出した。
うん十年ぶりに見た。やっぱり名作!
【実写版】 攻殻機動隊観てきた【ネタばれほぼ無し】
攻殻機動隊をまったく見たことのない、読んだことのない人(or過去にトライしたけどわからなかった人)にも少しは興味が持たれているのだろうか?
ハリウッドが実写版製作して4/7に公開。さっそく4/8に観てきた。
はじめに。攻殻機動隊が難解だとか、わからないと言う声が多いけれど。興味ある人はがんばって見てほしいなぁと思う。そう、がんばってw
①原作が書かれた時代
攻殻機動隊の原作は1989年あたりのヤングマガジンに掲載されていた。
当時は耳慣れなかったPC用語もだいぶポピュラーになった。
今から原作マンガを読む人、劇場版アニメの「攻殻機動隊」や「イノセンス」、TVシリーズを観る人にはかなり理解しやすい時代にはなった。
②難解なのか?
それでも難解だといわれる。その理由。まずは脚本に無駄な説明が無い。
つまり、退化した視聴者向け人気ドラマ「渡鬼」のような説明的セリフがほぼ無い。
例えば
「○○には、すぐに△△をしろと伝えたはずだ」というセリフの後に
「それは、つまり○○にすぐ△△をしろということですね?でも、もしかしたら本人はつらいと思っているんではないですかね?だからすぐは難しいと思われます」
みたいなオウム返しやその説明が攻殻の中にはほとんど無い。
「○○には、すぐに△△をしろと伝えたはずだ」
「は・・・。彼につとまりますかね?」
「時間がかかればさらにつらくなるだろう」と言うだけ。
(本編からの抜粋ではないです)
これが会話(脚本)として当たり前。けれど昨今のテレビドラマや邦画は違うw
ボーっと見てる客は置き去りにされてしまう。かく言う私もビデオで見直して納得した箇所は少なくない。
だから、「展開が早くてついていけない」とか「意味がわからなくなった」なんて話になる人も少なくない。ある意味、今のドラマやアニメの説明だらけの進め方に慣れてると「難解」という烙印を押されてしまうことは多々あると思う。洋画が苦手な人が多いのはそういう説明が少ないからかもしれない。(正直悲しい)
攻殻のレビューは以前にも少し書いた。もちろん観た人向けに書いたので詳しい解説とか解釈はほぼ無い。
しかし、作品で描いている内容はいたってわかりやすいエンターテインメント。ひとことで言うならサイバーテロリストをひっ捕らえる刑事ドラマだから。
過去に書いたブログはこちら。
前置きが長くなってしまった。
【2017年4月上映のハリウッド版】
さてさてやっと公開されてファンとしてはうれしい限り。封切り翌日に観てきた。
選んだのは「日本語吹替え版」
理由は2つ。
①過去の作品の印象が強いのでできれば印象が変わらないようにしたい。
②コレ見てよかったら、字幕版も見ようかと思った。
※昼休みにネットで空席状況を調べた。地元の映画館の封切り初日(金曜)の夜7時からの回。新宿あたりの劇場では昼の時点で夜の回が半分くらい埋まってた。
こんなんでしたw
さすがローカルな映画館。ガラガラw
③感想(ネタばれ→ほぼ無し)
・主人公の素子について。
スカーレットヨハンソンの素子は、冒頭では違和感あったけれど、後半に向かうにつれ馴染んだ。拍手ものです。
・街並み(風景等)
ブレードランナー、フィフスエレメント、ファイナルファンタジーⅦあたりの印象がかなり強い。目新しくは感じられないが、かなりディテールが面白い。
そのうち発売されるだろうDVDを買ってよく見てみたい。
・脇役について
バトー◎、新巻○、トグサはちょっとガッカリ。イシカワ、サイトー、ボーマはもっと見たかった。
・原作の再現
場面ごとに、絵コンテを原作そのまま使ったのか?と思うほどに忠実な再現がされている。予告編で見られる素子のビル屋上からのダイブだけでなく。
ファンは「あーこれね。」「この場面かぁ」と心の中でうなずいていたことでしょう。私も大ファンなのでとてもうれしかった。
・ストーリー展開
2時間にまとめる話としては無難。
クゼが人形遣いと交錯しそうな感じもあった。
まぁこれから見る人のために詳細の記述は避けるが、悪くない。
・監督は世界観をこわさずによく作ってくれました。
アニメの実写版と言うと「ガッカリ感」がつきまとうものだけれど、それは無かった。これはひとえに監督がどれだけ原作を好きか?と、それを描くための予算によるものが大きいと思う。その点では及第点。しかし、実際作るとして、ファンに及第点をもらうことの大変さは計り知れない。そういう意味では優秀な監督なんだろうと思う。
この音楽は使われたのに、なぜあの音楽は使われなかったか?といった野暮なことは無しで、見てほしいなぁと思いました。
はい。
あの音楽はこちら。これは当然?使われてませんw
最後に過去作品の自分の感想を連ねておく。
以下はあくまでも個人の感想なので「えー?全然ちがうよ、わかってねーなー」という方もいらっしゃると思う。それはそれ。私は私ということでご容赦願いたい。
ハリウッド実写版から攻殻の世界を体感する人もいらしゃるでしょうから。参考程度にしてもらえばうれしい。
④以下過去のアニメ作品の感想
・1995年 劇場版 GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
原作の1作目に忠実に描かれている。短時間でうまくまとめられているし、入門者にはわかりやすい。この世界観とキャラを理解するのには一番。後にデジタルリマスターされているので、そちらは画像もきれい。(”人形使い”の印象を変えているなどの若干の変更はある)と言うか、押井監督の手腕が光った。あの濃い内容を2時間にまとめる力はホントにすばらしい。今回の映画化においても一番参考にしたんではなかろうか?
それゆえ映画のタイトルがGHOST IN THE SHELL なんだろうと思います。
・2002~2003年 TVアニメ 攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)
「笑い男事件」という薬害問題を取り上げて、それを幹にいくつかのエピソードをまぜてシリーズ化。社会派な面とエンターテインメントを織り交ぜて人気の上がった作品。
すべてが笑い男事件の話ではなく、一話完結の話は『a stand alone episode』、「笑い男事件」関連の話は『complex episodes』(これはずっと続いて最後のクライマックスへと続くもの)となっている。
もし「今から攻殻を観よう」という人にはオススメ。逆に、笑い男事件に関する話をまとめたダイジェスト版は、一度テレビで観た人向けなので入門者にはあまりオススメしない。1話完結の話を見ていくうちに、タチコマを含む各キャラクターの良さがよくわかって楽しい。
・2004年 劇場版 イノセンス
以下はwikipediaより
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劇場版第1作の続編。内容は前作のように漫画第2巻「MANMACHINE INTERFACE」を基にしているわけではなく、漫画第1巻の第6話「ROBOT RONDO」を下地にしているがオリジナル展開であり、草薙素子が(同位体を含めて)ほとんど登場せず、バトーを中心としたストーリーになっている。
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と書かれているが、私はこの映画に描かれているトグサがいい。
国民的な人気を誇る「One Peace」でも、まったくの人間ががんばる姿があって、はじめて特殊能力のあるキャラクターが活きる。トグサが愛犬を含めた家族といる場面が印象的。絵も音楽もすごかった。
・2004年 『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』
Stand Alone Complex 二作目。
深夜テレビで放映された。全26話。
これも一話完結のエピソードによる話がある。回によって好みが分かれるところだけれど、個人的にはサイトーの回(エピソード)が好きだった。と言うよりサイトーと素子の一騎打ちで、私がますます素子のファンになった。
「個別の11人」の話は、近未来サイバー活劇というより、社会派な印象。突出したキャラとして合田がいい。もちろんクゼもいいけれど。
後半の合田とバトーのやりとりはちょっと【説明臭さ】があって余計だったような気もするが、少しわかりやすくしたのかな?と。素子とクゼの幼い頃の話は心に染みた。
・2008年 劇場版「GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊」
1995年のころには出来なかった映像を完全デジタルで再現した。
今から観るならコレを1本目として楽しむのがいいと思う。私は劇場で観たけれど、印象は95年のときとほぼいっしょ。好みで言うなら「人形使い」の声は95年版の低い男性の声の方が好き。素子は女性なので、男性の誘いを受けて向こう側に行くほうが俗っぽくていい。バトーが止めるさまも前作の方が、どこか恋愛でフラれるようで、これがまた切なくていい。
・2011年 攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY
◇SSSのトグサについて
攻殻の登場人物に関してはとても個性的でいわゆるキャラが立っている設定なんですが、トグサに関しては電脳化はされていても、全身生身でいてほしかったと思う。
名作には必ず名脇役がいる。特に活劇の中での名脇役は主人公ほど強くなく、読者に近い能力?でドラマを盛り立てていくもの。
それゆえ敵がどれだけすごいのか?を表現するため、時には危機的状況や瀕死の状態に陥る。そこで主人公が活躍をするから見ていて主人公のすごさがわかる。カタルシスがある。つまり、脇役は「こちらの物差し」なのに、トグサが義体化してきてどうする?と思った。
もちろんSSSは面白いけれど(笑)暗い。
※ARIZEは全作見ていないのでまたの機会に。
今回の映画は、名曲のカバーを実力派の演奏家が演じてくれた感じでした。
(おわり)