昭和の忘れもの。

1960年生まれの青ん坊語り。

「舟を編む」を観て。

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実はうちのツマさんが何度も見てるということで。
 
あらためまして、風邪気味夫婦ふたりで鑑賞。
 

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すぐに結果が出るものが好まれて、
すぐに利益が出るものが評価される世の中にあって
「いつ出来上がるかわからない」
「いつ利益につながるかわからない」
「いつ認められるかわからない」
 
そういうものを会社の中のチーム(部署)で作っていく。
 
舞台は出版社の辞書の編纂部署。
時代は1995年。「PHS」が使われ始めたころから始まる。
 
生き馬の目を抜くような出版社の中にあって「辞書チーム」は特殊な部署。
 
「あの人、辞書(の部署)へ異動させたらいいのに」

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ファッション雑誌の部署の華やかな女子が言う。
 
その「あの人」が主人公である。

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人とのコミュニケーションが苦手な主人公と、彼を取り巻く辞書チームの物語。
 
「人に伝えたいことがあるから、言葉がある」

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辞書監修の先生(教授?)の言葉は重く、そしてまっすぐに主人公の心に刺さる。
冒頭の先生の「言葉について」の話から一気に引き込まれてしまった。
 
辞書を作るには何年もの月日がかかる。
 
時間はゆっくり流れているようで、残酷だ。
この物語の中での辞書作りは15年。
 
その間にいろんなことが起きる。

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主人公の恋。
人事異動。
辞書作り自体をやめようとする会社の動き。
結婚。
大切な人の死。
仕事の成就。

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人生の中で起きる、とても大きなことを、
けっして大げさにせずに描いた大人の映画でした。
 
最後の手紙には、思わず涙がこぼれました。
 
演出、脚本、カメラ、編集、ピアノのBGMも含めて、
静かに流れる時間や、言葉の間の統一感。
 
フランス映画のようなオシャレな映画ではないけれど、
どこと無くヨーロッパ映画的な要素もあり、素敵な仕上がり。
とっても地味な感じ。しみじみ。よかったです。
 
ほんの少しだけ、亡き父こと松田優作の映画「それから」を思い出しました。
 
まちがいなく監督の力作ですね!!役者さんたちの好演もおそらくこの監督にしてアリなんだろうと思いました。
 
すばらしかったです(^^)
 
いい作品なら、速いテンポ+意外な展開+迫力映像・・・とか要らないっす。あははw
 
本屋大賞に選ばれるのはよくわかる気がします。だって、本を読む人が好きそうな話だものw
 
ノイタミナのアニメの方も観たくなりました。

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