不思議惑星キン・ザ・ザ【具体的なネタバレなし】
日曜の午後に横浜の単館系映画館「ジャック&ベティ」で観てきました。
ネットで見た予告編や、紹介文ではソ連で作られた“おバカなSF映画”なんて紹介されているけど、違いました。いい意味で裏切られました。
「宇宙家族ロビンソン」みたいなものとは明らかに違います。
この惑星は、まさに当時のソ連の政府、政策、法律、警察とその支配下の庶民たちのデフォルメです。(記号化と言ったほうが適切かな?)
スターウォーズと比較されるのは砂漠にやってくる分銅のような飛行船の特撮技術と、ノッポさんとおデブちゃんのコンビがC3POとR2D2みたいな?感じ+本国での動員数でしょう。(もしくは大ヒット作スターウォーズのファンに見て欲しいといった意図のコピーかもしれません)
8/20公開 映画『不思議惑星キン・ザ・ザ』デジタル・リマスター版 特別映像「クー!」編
主要人物ひとりひとりがとても人間臭い(ロシア文学を読んだ人ならわかるでしょう)のでハリウッドの完全懲悪のドンパチが好きな人(スターウォーズファン含む)にはわかりづらいと思います。
どん欲で狡猾で合理的で利己主義なのに相手を思いやる気持ちもあるといったような人物ゆえにドラマがあると言いますか。。
劇中には、権力者と富裕層と庶民の「階層」と国の制度に対する批判や、独善的な幸福観を押し付ける惑星のトップへの不満などなど、多くのことが盛り込まれています。
コミカルでシニカル。本編の随所にブラックジョークやらアイロニーやらが含まれていました。おそらく公開された当時、ソ連の観客たちは銀幕に向けて拍手をたくさん送ったのではないでしょうか?!
何より当時、監督はじめ製作者たちはかなりの覚悟を決めて撮ったんだと思われます。
上映禁止になるかもしれない。社会的に抹殺されるかもしれない。それでもこれを作品にしたいという気概のようなものを感じました。
まぁ、ひとことで言うなら『SFおばかパロディという皮をかぶった社会派の狼』でした。
特に お花畑惑星?の場面でのセリフは秀逸です。思わず「そうだそうだ!」と心の中で叫びました!
そしてそして、国(星)を越えても人々を楽しませるのは音楽だというところもロシアなんだなぁ・・と思いました。それがまたひどい音楽なんですけどねw
※「クー」のあいさつって日本の相撲からだと思うんだけど・・。
※※80年代の映画のテンポ(運び・展開)が遅い+BGMがまったりで、途中眠くなってしまいました。(おそらく数分見逃してますw)
※※※しかし地味なフライヤーw